イラン首都テヘランで深刻な水不足、数週間以内に枯渇の恐れ
(CNN) イラン首都テヘランが深刻な水不足に見舞われている。専門家らは数週間以内に市内の大部分の水道が枯渇する恐れがあると指摘する。主要な貯水ダムの水量が減少するなか、当局は水消費量の削減に奔走し、住民は必死に節水に努めている。
乾燥したこの国では、もともと水の供給が不足している。しかし、これまでと異なるのは今回の危機が首都を襲っているという点だと、国連大学水・環境・保健研究所のカーベ・マダニ所長は指摘する。
約1000万人が暮らすテヘランでは、消費量を削減しなければ、水が完全に枯渇する可能性があると専門家らは警鐘を鳴らす。
この危機の根源には、技術者が不適切と評する数十年にわたる水管理と、需給の不均衡の拡大などの要因が複雑に絡み合っている。
こうした状況に気候変動が拍車をかけている。
イランは5年連続で干ばつに見舞われているうえ、先月は国内の一部地域で気温が50度を超えたという。
テヘラン州は31日、この危機への対応として水圧をほぼ半分に引き下げた。
高層住宅の住民にとって、これは全く水が供給されないことを意味する。テヘランで14階に住む男性は、頻繁に断水していると話す。
テヘランには給水車で水が運ばれている。

テヘランを走る給水車=6月15日/AFP/Getty Images
水の専門家は、水管理の不備が今回の危機の大きな要因だと指摘している。過剰な地下水のくみ上げ、非効率的な農業慣行、そして都市での無制限の水利用といった人間の活動が、この地域を水資源の破綻(はたん)へと追いこんでいるという。
テヘランでは、増加する人口を支えるため帯水層から大量の水をくみ上げているため、市内の一部が沈下しており、年間25センチ以上沈下するケースもある。
現地メディアによると、イランの31州のうち1州を除いたすべてが水不足に陥っている。