米スミソニアン協会、トランプ大統領弾劾に関する展示を一時撤去
(CNN) 米スミソニアン協会が運営する国立アメリカ歴史博物館が先月、ドナルド・トランプ大統領の2度の弾劾(だんがい)に関する記述を、大統領制に関する展示から一時的に撤去していたことが分かった。
展示の撤去については、米紙ワシントン・ポストが最初に報じた。スミソニアン協会は7月31日、CNNの取材に対し、今年実施した展示内容の「レガシー(過去)コンテンツ」の見直しの一環としての決定だったと説明した。同協会は2日の声明で、「いかなる政権や政府関係者からも展示内容の削除を求められたことはない」とし、「今後数週間のうちに、米国の歴史上すべての弾劾手続きを反映するよう展示を更新する」としている。
協会の声明では、今年になりトランプ氏が出した大統領令については言及されていない。この大統領令は、米国における人種差別の歴史や、トランプ氏自身の歴史的ではあるが物議を醸した初任期を含む可能性がある、歴史の特定の側面についての率直な議論を弱めたりゆがめたりするよう博物館に指示するために作成されたとみられている。
この展示は2008年に最後の更新が行われ、それまでにアンドリュー・ジョンソン大統領とビル・クリントン大統領の弾劾や、ウォーターゲート事件を受けて正式な弾劾前に辞任したリチャード・ニクソン大統領の弾劾手続きに関する情報が取り上げられていた。
トランプ氏は米国史上唯一、2度弾劾された大統領。1度目は19年に大統領選への影響を狙いウクライナに不正な働きかけをしたとされる容疑。2度目は21年、米連邦議会議事堂襲撃事件に関与したとされる「反乱扇動」容疑によるもので、いずれも上院で無罪となった。

トランプ氏の2度の弾劾などにふれた展示=2021年9月/Michael Williams/CNN