ウィトコフ米中東担当特使、ガザの配給拠点を視察 飢餓が深刻化する中
ウィトコフ米中東担当特使、ガザの配給拠点を視察
(CNN) 米国のウィトコフ中東担当特使は1日、パレスチナ自治区ガザ地区を訪問し、米国が後押しする支援物資の配給拠点を視察した。この施設を含む3カ所の配給拠点付近ではここ数週間、乏しい食料を求めて集まったパレスチナ人が大勢死亡している。
ウィトコフ氏はガザ地区に5時間滞在したことを明らかにし、人道状況の把握に努めてトランプ大統領に報告する考えを示した。トランプ氏は今週、ガザには「本当に飢餓」が存在すると述べ、イスラエルのネタニヤフ首相の主張と相反する認識を示していた。
トランプ氏は同日、「ウィトコフ氏と話をした。多くの人と素晴らしい会合を持ち、中心的な会合は食料に関するものだった」とコメント。「他にも話があった。それついては後で説明するが、会合の主眼は人々に食べ物を行き渡らせることだった。それが我々の望みだ」と述べた。
ウィトコフ氏は同行したハッカビー駐イスラエル米大使とともに、ガザ人道基金(GHF)が運営する南部ラファの配給拠点を訪問した。封鎖下のガザで稼働中のこうした配給拠点は3カ所しかない。
国連の支援物資がイスラム組織ハマスの手に渡っているとのイスラエルの抗議を受け、GHFは国連の役割を脇に追いやる形で設立された。しかし、ガザ地区の飢餓が深刻化する中、GHFは状況を改善できていないとの批判を浴びている。
国連はGHFのモデルは人道原則に反するとして、新方式への参加を拒否。国連によれば、1000人を超えるパレスチナ人が食料を得ようとしてイスラエル軍の対応で死亡しており、うち数百人はGHFの施設の近くで命を落とした。GHFはこれに異議を唱えている。
この2カ月間、GHFの配給拠点では混乱が続き、イスラエル軍が多数のパレスチナ人に発砲する様子が確認されている。支援物資を得ようとして人波に押しつぶされた人もいた。
ハッカビー氏はガザを訪問後、GHFを称賛。食料がハマスを経由せずパレスチナ人のもとに行き渡るようになっているため、ハマスはGHFを「憎んでいる」と指摘した。

ウィトコフ氏は人道状況をより良く理解するため、5時間以上ガザに滞在したという/Ambassador Mike Huckabee/X
イスラエルは支援物資がハマスの手に渡るのを国連が許容していると主張するものの、米政府の内部調査では、米国の資金による人道物資がハマスに盗まれる事態が横行している証拠は見つかっていない。
ハッカビー氏は、GHFが5月以降に1億食以上を配給したとも称賛したが、他の援助機関からは、これでは不十分と警鐘を鳴らす声が上がる。もしガザ地区の住民210万人に1億食が供給されたとしても、住民1人あたりでは47日間で1日に1食程度に過ぎない。GHFの稼働期間は70日近い。
ハマスの幹部はウィトコフ氏の訪問を、単なる写真撮影と大差ないと非難した。