トランプ氏が戦略配置を指示、米海軍の潜水艦とは
(CNN) 米国のトランプ大統領は、ロシアの大統領を務めた経験を持つメドベージェフ国家安全保障会議副議長の発言を受けて、米海軍の原子力潜水艦2隻に対して「適切な地域」への配備を命じたと明らかにした。
トランプ氏はSNSへの投稿を通じ、「備える」努力と呼ぶこの取り組みのなかで、「こうした愚かで挑発的な発言が言葉だけにとどまらない場合に備えて、2隻の原子力潜水艦を適切な地域に配置するよう命じた」と明らかにした。
トランプ氏は、どのような種類の潜水艦が派遣されるのか、あるいはどこに派遣されるのかについては明らかにしなかった。国防総省は通常、潜水艦の移動について明らかにすることはほとんどない。
米海軍は3種類の潜水艦を保有しており、いずれも原子力潜水艦だが、核兵器を搭載できるのは1種類のみだ。米海軍の潜水艦の概要は以下の通り。
弾道ミサイル潜水艦
米海軍は「ブーマー」とも呼ばれるオハイオ級弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を14隻保有している。
米海軍によれば、SSBNは「ステルス性と核弾頭の正確な運搬を目的として特別に設計されている」という。
潜水艦はそれぞれ、複数の核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント」を20基搭載できる。トライデントの射程は最大7400キロで、ロシアに近づくことなく、ロシアを攻撃することができる。実際、大西洋や太平洋、インド洋、北極海から攻撃することも可能だ。
SSBNは敵の先制攻撃に耐えることが期待されるため、強力な核抑止力となる。その動向は、海軍でも最も厳重に守られている秘密の一つだ。
全長170メートルのオハイオ級潜水艦は潜航時の排水量が約1万9000トンで乗組員は159人。速度は時速23マイル(約37キロ)に達する。
誘導ミサイル潜水艦
国防総省は1990年代、海軍が核抑止力として多くのオハイオ級原潜を必要としないと判断し、そのうち4隻を誘導ミサイル原子力潜水艦(SSGN)に改修した。
SSGNはブーマーと同じ全体的な仕様を維持し、トライデントの代わりに巡航ミサイル「トマホーク」を搭載している。各艦はトマホークを154発搭載でき、射程は約1600キロ。
海軍によれば、SSGNは兵士の輸送も可能で、弾道ミサイル発射管跡の「ロック・アウト・チェンバー」から秘密裏に兵士を展開することができる。
SSGNの動向も高度な機密だが、海軍は近年、抑止力のメッセージを送るため、軍事的な緊張が高まる周辺でSSGNの存在を示すことがある。
高速攻撃型潜水艦
高速攻撃型潜水艦は米海軍の潜水艦の大半を占め、敵の潜水艦や水上艦を追跡し、魚雷で破壊するよう設計されている。トマホークで陸上の標的を攻撃することも可能だが、搭載するトマホークの数はSSGNよりはるかに少ない。
高速攻撃型潜水艦には、バージニア級、ロサンゼルス級、シーウルフ級の三つがある。
海軍によれば、バージニア級は最新鋭で7月1日時点で23隻が就役している。全長は仕様により約114メートルから約140メートル。排水量は1万200トン、乗員は145人。
ロサンゼルス級は海軍の攻撃型潜水艦の中で最も古く、現在23隻が就役している。全長約109メートル、排水量6900トン、乗員143人。
シーウルフ級は米海軍で最も小型の潜水艦だ。
全長約107メートル、排水量9100トンの「シーウルフ」と「コネチカット」の2隻は、魚雷や巡航ミサイルを搭載する標準的な攻撃艇に近い。
シーウルフ級潜水艦の3番艦の「ジミー・カーター」は、海軍で最も特殊化された潜水艦の一つで、他の2隻よりも船体が約30メートル延長されている。
海軍によれば、この船体は、機密の研究開発を実施するために使用される先進技術に対応するための追加の搭載容量を提供し、戦闘能力の向上を可能にするための設計となっている。