イスラエル首相、赤十字国際委員会に人質支援を要請 衰弱した姿に国内外から批判の声
(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相は3日、イスラム組織ハマスが停戦合意を望んでいないと批判し、赤十字国際委員会(ICRC)に対し、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されている人質への食料と医療支援を求めた。ガザ情勢をめぐっては、やせ細ったイスラエル人の人質2人が映るプロパガンダ動画が公開され批判の声が出ている。
テルアビブでは2日夜、数万人規模の抗議集会が開かれ、「戦争を止めろ」「だれも取り残すな」などと書かれたプラカードを掲げた参加者らが、ネタニヤフ氏に対しガザに残る人質解放のための合意形成を迫った。
ハマスと武装組織「イスラム聖戦」が公開した映像には、人質のエビヤタル・ダビドさんとロム・ブラスラフスキさんが衰弱した様子で映っており、国内外で強い反発を招いた。
赤十字国際委員会は3日、声明で、こうした映像に衝撃を受けているとし、悲惨な状況を終わらせなければならないと訴えた。
フランスのマクロン大統領は映像を「耐え難い」と非難し、ドイツのメルツ首相も「ハマスがガザの将来にいかなる役割も担うべきではないことを示している」と指摘するなど、各国首脳からも批判が相次いだ。
イスラエル首相府によると、ネタニヤフ氏は3日、赤十字国際委員会の現地代表と電話会談し、人質への即時の食料・医療支援を要請した。
ハマスは、人質に食料や医薬品を届けたいという赤十字の要請には前向きに応じる用意があるとしつつ、要請の受け入れにはガザでの人道回廊の開設が条件とする立場を示した。ハマスは、人質の衰弱はガザの悪化する状況を映し出していると主張している。
だが、過去に解放された人質も解放時に同様に衰弱しており、監禁中に栄養失調に陥ったと証言するものもいた。
ハマスの軍事部門「カッサム旅団」の報道官は、人質を意図的に餓えさせているわけではなく、ハマス戦闘員やガザ住民と同じ食事を取っていると述べた。「飢餓と包囲という犯罪行為の中にあって、いかなる特権も与えられない」としている。