イスラエル人質家族が緊急の抗議デモ、衰弱した人質の動画公開受け
(CNN) イスラエル人の人質家族らが2日、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されている衰弱したイスラエル人の人質を映したプロパガンダ映像の公開を受けて、テルアビブの「人質広場」で緊急の抗議集会を開いた。映像には、イスラエル人男性2人の衰弱した様子が捉えられていた。
映像は、イスラム組織ハマスと武装組織「イスラム聖戦」がそれぞれ公開したもので、人質のエビヤタル・ダビドさんとロム・ブラスラフスキさんが登場。いずれも撮影日は不明で、ダビドさんの映像には飢餓に苦しむパレスチナ人の子どもたちの映像が並置されていた。
ガザには少なくとも50人の人質がいるとみられており、そのうち20人以上は生存していると考えられている。
ガザでの停戦と人質の解放をめぐる交渉は停滞し、ガザでは飢餓の危機が深刻化しつつある。
米国のウィトコフ中東担当特使は、人質家族らとの面会に先立ち、ガザ地区内の米国支援による物資配布拠点を視察していた。翌日にはテルアビブの広場で抗議活動に参加し、人質家族ら約40人と3時間にわたる「非常に感情的な会合」を行った。出席者が明らかにした。
被害者団体「人質・行方不明者家族フォーラム」によると、ウィトコフ特使は会合で、交渉は「すべてかゼロか」の方式で進めるべきだとし、戦争を終わらせ、50人全員を同時に帰国させることが唯一の道だと強調した。もし人質が生きて戻らなければ、誰かが責任を問われることになるとも述べたという。

ハマスが公開したエビアタル・ダビドさんの動画の一コマ/Hamas/Hostages and Missing Families Forum
人質の家族らは、ガザでの戦闘の継続が人質の命を危険にさらすとして、繰り返し即時の停戦と包括的な解決策を求めてきた。2日には数万人がイスラエル各地で人質解放を訴えるデモに参加した。
家族らは声明で「衝撃的な映像と報道を受け、人質の家族はテルアビブの中心で声を上げる。イスラエル政府と米政府に訴える。私たちの愛する人たち、そして私たち自身の目を見てほしい」と述べた。
ブラスラフスキさんの父、オフィールさんは、映像で最初ブラスラフスキさんを見たとき、それが誰なのかわからなかったと語った。オフィールさんは「ロムはパンに飢え、水に渇き、病気で、心身ともに打ちのめされている。我が子は死にかけている!」と語った。イスラエルのネタニヤフ首相に対しては段階的な交渉では失敗したとして、戦争を終わらせ、人質を帰還させるよう決断を求めた。
ダビドさんの兄弟のイライさんは、ダビドさんの扱いについて、「人間としての基本的な良識のかけらもない残忍で野蛮な攻撃だ」と批判。イスラエル政府と米国のトランプ大統領に対し、人質救出のためにあらゆる手段を尽くすよう呼びかけた。
ネタニヤフ首相は2日夜、人質家族らと面会し、ハマスなどが公開した映像に「深い衝撃」を受けたと述べた。人質全員の帰還に向けた取り組みは続いているとも語ったという。