「死ぬか生きるか」と覚悟 ロシアの襲撃から電動バイクで生還したウクライナ兵

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「生きるか死ぬか」 負傷したウクライナ兵、戦場からの脱出法は

(CNN) ウクライナ東部シベルシク近郊に駐留していたウクライナ兵アンドリーさんは、ロシア軍の激しい攻撃で塹壕(ざんごう)にいた仲間3人を失い、自身も脚に重傷を負った。万事休したと思われたが、司令部ではドローン映像を見ながら脱出作戦を考案。強い生存への意志と1台の電動バイクが、アンドリーさんを救った。

ロシア軍は塹壕にまで地雷を投げ込むなど残虐な攻撃を仕掛け、アンドリーさんのすぐ隣では仲間3人が死亡した。脚を負傷して走ることもできなくなったアンドリーさんは、無人機による監視下で孤立する多くのウクライナ兵と同様、「ここで終わりだ」と感じたという。

「そこから生きて出られるとは思わなかった。動くことができなかったから。脚に重傷を負い、歩けなかった」(アンドリーさん)

しかし司令部でドローン映像を見ていた仲間は、一つのアイデアを思いつく。アンドリーさんなら電動バイクで脱出できるかもしれない――。

ウクライナ軍は電動バイクをドローンに取り付け、前線まで慎重に、少しずつ運搬した。機体から投下された自転車は無事届き、アンドリーさんは驚くべきことにそれにまたがって走りだした。

「死ぬか生きるかだと思った。ただひたすら一方向に向かった。何が起きても構わない。生き延びればよし、駄目なら仕方ない」

「もっとスピードを、できる限り速く!」。ドローン担当者が無線で叫ぶ。

ウクライナ側はロシアの無人機がいない時間帯を選んだが、それでも十分ではなかった。アンドリーさんは地雷を踏み、ドローン操縦者は凍り付いた。すべてが水泡に帰したのか。

しかし煙の中から小さな人影が姿を現した。脚を引きずりながらも生きていた。包帯を巻いた脚が見えた。

「額を少しかすめただけだった。車輪とフォークは吹き飛ばされたが、私は無事だった。横に倒れただけ」(アンドリーさん)

アンドリーさんは味方に迎えられて別の壕に運ばれ、さらに2日、救助をまった。

ウクライナでは「必要は発明の母」と言われるが、最後に物を言うのは運なのかもしれない。

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