イスラエル首相、ガザの「完全制圧」求める構え 停戦交渉が膠着するなか
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区における人質解放と停戦をめぐる交渉は行き詰まりを見せている。イスラエルのネタニヤフ首相は軍事作戦の拡大に傾きつつあり、イスラム組織ハマスは協議の再開前に人道状況への対応を求めている。
イスラエルメディアの報道によると、ネタニヤフ氏は5日に安全保障閣僚会議を開き、完全な「ガザ地区の制圧」を支持するよう求める構えだ。この報道は、事情に詳しい情報筋によって正確だとされている。
情報筋はCNNに対し、国防当局は人質が拘束されているとみられる地域での地上作戦の拡大に反対していると語った。人質を危険にさらすリスクがあるためだ。
この動きは、人質と兵士双方の命にかかわるとしてイスラエル兵の母親らから批判を浴びている。パレスチナ自治政府は国際社会に介入を求めた。
軍事作戦の拡大計画について問われたイスラエルのサール外相は4日、これは「すべての人質の帰還と、部分的な合意に向けた交渉が失敗に終わったことを受けての戦争終結への願い」を反映したものだと説明した。
イスラエル政府のアプローチが、米国のウィトコフ中東担当特使の考えと一致しているかどうかは不明。
ウィトコフ氏は2日にイスラエル人人質の家族と3時間にわたり面会した。「人質・行方不明家族フォーラム」は同氏の発言を引用し、計画は「戦争を拡大することではなく、終結させることだ。交渉は『すべてか無か』に変更すべきだと考えている。戦争を終結させ、人質50人全員を同時に帰還させること。それが唯一の道だ」と述べた。

抗議集会で流されたイスラエル人人質の映像。映像はハマスが公開した=4日、テルアビブ/Ammar Awad/Reuters
イスラエルの世論調査では、ガザ紛争の終結と人質解放の確保を支持する意見が一貫して多数派を占めている。
イスラエルの元治安当局関係者数百人は4日、トランプ米大統領に対し、ネタニヤフ氏にガザ戦闘を終わらせるべく圧力をかけるよう求めた。
元当局者らは4日にメディアに公開された公開書簡の中で「ハマスはもはやイスラエルにとって戦略的脅威ではないというのが、我々の専門的判断だ」と述べている。
「当初、この戦闘は正当な戦闘、防衛的戦闘だった。しかし、我々がすべての軍事目標を達成した時点で、この戦闘は正当なものではなくなった」と、元当局者は語った。
しかし、政権内の極右勢力は、ガザの大部分の占領と、住民にガザからの完全退去を促す措置を推進している。