地中貫通弾「バンカーバスター」にも耐えうるイラン・フォルドゥ核施設、衛星画像が示す全容

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6月14日の衛星写真。13日のイスラエルの攻撃後でも損傷を受けている様子はみられない/Maxar Technologies

6月14日の衛星写真。13日のイスラエルの攻撃後でも損傷を受けている様子はみられない/Maxar Technologies

(CNN) 山々に掘られた5本のトンネルと巨大な支持構造物に広大な警備線。最近の衛星画像が示しているのは、イランの謎に包まれたフォルドゥ燃料濃縮施設の全容だ。

同国中部コム近郊にあり、厳重に警備されたこの秘密施設は、2009年に公開されて以降、その実態と規模についてさまざまな臆測を呼んでいる。

現在分かっていることの多くは、数年前にイスラエルの諜報(ちょうほう)機関によって盗み出された膨大なイラン関連文書から得られたものだ。

主要ホールは地下80~90メートルに位置しており、イスラエルが実行可能とされるいかなる空爆からも安全であるため、空からの破壊は不可能に近い。

イラン指導部がイスラエルによる一連の壊滅的な攻撃に動揺する中、一部のアナリストは、イランがフォルドゥで濃縮ウラン備蓄の核爆弾への転換を急ぐ可能性があると指摘する。

イスラエルは近年、この施設を標的としているものの、国際原子力機関(IAEA)によると、これまでのところ、イスラエルには同施設に損害を与える意思あるいは能力が欠けているという。

イランは長年、核開発計画の目的は平和目的であるとの姿勢を維持してきたが、フォルドゥはイランの野心をめぐる懸念の中心となっている。

09年に当時のオバマ米大統領はフランスのサルコジ大統領、英国のブラウン首相と共にフォルドゥの存在を公表し、「この施設の規模と構成は平和的核計画とは相いれない」と述べた。

西側諸国がフォルドゥの存在を知ったことを認識したと思われるイランは、この発表の数日前にIAEAに対し新たな燃料濃縮施設を建設する意向を伝えていた。しかしこの時点でフォルドゥでの建設はすでに何年も前から進められていた。

イランは非難に反論したが、同盟国であるロシアからの非難や中国の懸念もあり、対応の余地はほぼなかった。

建設開始は2000年代初頭


CNN / Google Earth

米国とその同盟国は、フォルドゥでの建設開始時期について詳細な情報を明らかにしていないが、公開されている過去の衛星画像には04年に作業が行われている様子が写っており、現在トンネルの入口がある場所に二つの白い四角い構造物が写っている写真もある。IAEAはさらに、02年当時の建設の様子を示す画像を保有しているという。

「フォルドゥは00年代初頭のいわゆる『核兵器撲滅計画』の時期に開始されたプロジェクトだ」と、ワシントンの科学国際安全保障研究所(ISIS)所長デービッド・オルブライト氏は話す。「イランはこの施設で兵器級ウランを製造し、低濃縮ウランはイランの民生用原子力計画から入手するという構想だった」

09年にはすでに、施設の外側に大型の支持構造物が完成しており、専門家によれば、換気用の立坑と思われる掘削工事が進められていた。最近の画像からは、この立坑が後にカモフラージュされたことも確認できる。

イランは09年10月付のIAEAへの書簡で、施設を地下に建設するという決定は「イランに対する軍事攻撃の脅威」を受けた結果だと説明。フォルドゥは近隣のナタンズにある施設の緊急時対応拠点という位置付けであり、ナタンズの施設は「軍事攻撃の脅威にさらされている標的の一つ」であると主張した。

イランはIAEAに対し、この施設には最大3000台の遠心分離機を収容できると伝えたという。

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