米軍を使ってのイラン攻撃、トランプ氏が一段と乗り気に 情報筋
(CNN) 米国のトランプ大統領は、米軍のアセットを使用したイランの核施設攻撃に一段と乗り気になっている。現行の議論に詳しい2人の当局者がCNNに明らかにした。一方で、外交的解決によってイランとイスラエルの対立激化に歯止めをかける考えには興味を失っているという。
これまでになくタカ派的なその姿勢には、トランプ氏の思考に重大な変化が生じたことを意味する。ただ当該の情報筋によると、トランプ氏は依然として外交的解決に道を開いてはいる。その場合はイランが大幅に譲歩することが条件となる。
先週末から16日にかけ、トランプ政権当局者の間では外交的解決によって紛争の収束を図ろうとする議論が常に中心を占めていた。議論の内容に詳しい情報筋が明らかにした。
ところが17日になってトランプ氏は、外交に向けた自身の忍耐が限界に近づきつつあることを示唆。主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されたカナダからの帰国途中、記者団に対し「そこまでイランと交渉したい気分ではない」と述べた。またイランに関する自身の目的は本当の終戦であって単なる停戦ではないとも強調。そうでなければ「全てを諦める」と付け加えた。
この後、自身のSNSトゥルース・ソーシャルでイランへの「無条件降伏」を呼び掛けた。さらにイランの最高指導者の所在を把握しているが、「今のところは」殺害しないとも述べた。
米空軍は過去数日の間に、空中空輸機30機以上を中東地域に派遣していた。これはイランを攻撃するイスラエル軍戦闘機の燃料補給支援をトランプ氏が決定する場合への備えだったという。事情に詳しい情報筋2人がCNNに明らかにした。
イスラエル軍機への燃料補給は米軍による紛争への関与としては控え目な部類だが、給油機の派遣には情勢が悪化した場合トランプ氏並びに米中央軍へ複数の「選択肢」を与える目的もあったと情報筋の一人は説明する。具体的にはイスラエルと合同でイランの核施設を攻撃することなどが含まれるという。
トランプ氏は17日、ホワイトハウスの安全保障担当チームと危機管理室で打ち合わせを行った。イスラエルはかねてトランプ氏に対し、イラン核施設を壊滅する作戦への関与を強めるよう圧力を掛けている。イスラエルの高官らによれば、そうした作戦には米軍の兵器や航空機が必要になるという。
あるイスラエルの情報筋は、イスラエル側では対イラン作戦への米軍の参加について楽観的な見方が広がっているとしつつ、現時点でトランプ政権から作戦参加に関する正式決定は届いていないと述べた。
イラン核施設の完全な壊滅に向けたイスラエルの取り組みに対し、トランプ氏が最終的に支援を決断するのかどうかは現時点で不明。これまでの非公式の話し合いに詳しい複数の情報筋によれば、可能性自体は議題に上っている。特にイラン側がこれ以上前向きに解決策を模索しない場合を想定して議論が行われているという。
バンス副大統領はX(旧ツイッター)への17日の投稿で、イスラエルに協力するのか、新たな地域紛争に米国が巻き込まれるのを避けるのか、保守派の間でも意見が分かれていると指摘した。
16日には長年イランに対するタカ派として知られるリンゼー・グラム上院議員がトランプ氏に私的に電話をかけ、米軍の実力行使も含める形で「全力を挙げて」イランの核開発を終わらせるよう求めている。
カナダからの帰国途中、記者団はトランプ氏に対し、米軍の爆弾が地下深くに設置されているイランの核施設に実際に到達する保証はあるのかと質問。これを受けトランプ氏は「何の保証もない」と回答した。その上で、イランが中東に派遣されている米軍を標的にした場合は、紛争が格段に激化すると警告した。