両親が強制送還、米国の保護下にあった2歳女児が帰国 ベネズエラ
カラカス(CNN) 両親が強制送還となり、自身は米国政府の保護下に置かれていた南米ベネズエラの2歳の女児が14日、同国への帰還を果たした。
米国からベネズエラの空港に到着した女児は、ベネズエラのシリア・フローレス大統領夫人に抱かれて記者団の前に姿を現した。
同国のカベリョ内相は「今日、我々は偉大な勝利を勝ち取った」と述べた。

ベネズエラに到着したマイケリスちゃんを抱いて歩く同国のシリア・フローレス大統領夫人/Government of Venezuela
この数週間、ベネズエラは米国に対し女児を返すよう要求。米当局者が女児を拉致したと非難してきた。
米国土安全保障省はかねてこうした内容を否定し、家族を引き離したのは女児を両親から守るためだと主張していた。同省は両親をベネズエラの凶悪なギャング組織「トレン・デ・アラグア(TDA)」の構成員だとみているが、その証拠は示していない。女児の母親はこうした主張を否定している。
ベネズエラ政府によると、米国は今年3月に女児の父親を悪名高いエルサルバドルの刑務所に送った。母親も後に、娘と引き離されてベネズエラへ強制送還された。
14日、女児はベネズエラ大統領府で母親、祖母と再会した。国営テレビは、母親が喜びの涙を流して娘をきつく抱きしめる様子を放送した。
ベネズエラのマドゥロ大統領は、複数の当局者が米国内の弁護士や人権団体と連携して女児の帰還を実現したと述べた。
マドゥロ氏は、米特任大使のリチャード・グレネル氏とトランプ米大統領に対して謝意を表明。その上で、「ここまで意見の相違があり、今後もそれはあるだろうが、神の恩恵によって前に進むことができる」と述べた。
CNNは国土安全保障省と米国務省のベネズエラ担当部局に連絡を取り、詳細な情報を求めている。
法律擁護団体が裁判所に提出した文書によれば女児と両親は亡命のため2024年5月に米国入りした。父親はバイデン前政権下の7月、国外退去命令を受けた。宣誓供述書の中でこの父親は、自身とパートナーが移民の勾留施設に入れられ、女児は米保健福祉省の難民定住課(ORR)の保護下に入ったと説明。同年10月から今年の3月にかけて、週ごとに女児に面会していたと述べた。
弁護士が提出した裁判文書によると、父親は3月29日にキューバのグアンタナモ湾の移民収容施設に入れられ、翌日にはエルサルバドルの悪名高い巨大刑務所「CECOT」に送られた。
国土安全保障省は、ORRが女児を保護し続ける理由として、虐待や犯罪行為に直面する事態から守るためと説明していた。