ベネチア（ＣＮＮ） それは今年世間で最も注目を集め、最も秘密に包まれた結婚式だった。
ジェフ・ベゾス氏とローレン・サンチェス氏は２８日夜、中世の造船所跡「アルセナーレ」で祝宴を開き、３日間続いたベネチアでの豪華挙式を締めくくった。夫妻は報道陣やパパラッチを引き連れ、ベネチア・ビエンナーレの会場として使われるアルセナーレへ向かう姿が目撃された。
ＣＮＮのメリッサ・ベル記者は、手を振る夫妻のボートと並走する船から中継した。サンチェス氏はピンクのドレス姿で、後にヴォーグ誌の情報でアトリエ・ヴェルサーチェのデザインと判明した。ベゾス氏は黒のスーツに同色の黒シャツという格好だった。
これに先立ち、新郎新婦はかつてアーネスト・ヘミングウェイも常連客に名を連ねた名高い「ハリーズ・バー」へ入る姿が目撃された。一方、市内の鉄道駅ではデモ隊が行進に備え集結していた。
米アマゾンの創業者で大富豪のベゾス氏と元ジャーナリストのローレン・サンチェス氏は２７日、サン・マルコ地区にひっそり浮かぶ歴史的なサン・ジョルジョ・マッジョーレ島で非公開の式を挙げた。招待客のリストには、カーダシアン&ジェンナー家の面々やビル・ゲイツ氏、カーリー・クロス氏、オプラ・ウィンフリー氏、アッシャー氏らが名を連ねた。約２００人のゲストはひとたび週末のイベントの会場に入ると、ＳＮＳ投稿禁止のルールを守ったようだ。
秘密に包まれた式
式は静かに幕を閉じたが、ファッション界からのシグナルは例外だった。デジタル版ヴォーグのトップで、サンチェス氏のドレス姿が初公開されたのだ。多くの憶測を呼んでいた（そしてベネチアではデザイナーのドメニコ・ドルチェ氏の姿も目立っていた）ドレスだが、ドルチェ＆ガッバーナが１年半かけて手掛けた特注デザインだったことが判明した。レース仕立てのハイネックのコルセットドレスには、シルクシフォンで覆った聖職者風のボタン１８０個が正面に並べられていた。
ヴォーグ誌によると、夜が更けるにつれ、サンチェス氏はさらに２度の衣装替えを行った。ウェディングディナーではスイートハートネックのドレス（今度は１９４６年の映画「ギルダ」へのオマージュだ）に着替え、続いて１７万５０００個のクリスタルをあしらったオスカー・デ・ラ・レンタの精巧なカクテルドレスをまとった。
サン・ジョルジョ・マッジョーレ島は、イタリアの建築家アンドレア・パッラーディオが設計した、大理石の輝くルネサンス期のバシリカ建築で知られる。だが、新郎新婦がこの島を選んだのはもっと現実的な理由、プライバシーの確保もあったかもしれない。
ベネチアでは運河封鎖の脅しやゲリラ的に設置される横断幕、ベゾス氏そっくりの不気味なマネキンなどによる抗議行動が続き、サンチェス氏とベゾス氏は土壇場で週末の会場を変更せざるを得なかった。報道によると、サン・ジョルジョ・マッジョーレを選んだ決め手は、島の警備体制と外部からのアクセスの難しさだったようだ。ベネチア観光当局の試算では、今回の祝宴だけで市の年間観光収入の６８％近い経済効果を生むとされるが、デモ隊は世界の大富豪による美しいベネチアの乗っ取りとみなし、抗議の声を上げている。
式では、米アマゾンの創業者で富豪のベゾス氏と元ジャーナリストのサンチェス氏が象徴的な指輪交換を行ったとみられる。２人の結婚が法的に成立した時期は不明だ（今週以前に米国で手続きを済ませていたのかどうかも分かっていない）。ベネチア市長室の広報は２６日のＣＮＮの取材に対し、公式な申請は受けていないと明かした。つまり、今週のイベントは形式的なもので、法的拘束力は持たないということだ。
ヴォーグ誌の写真公開から間もなく、サンチェス氏はインスタグラムのアカウント名を「ローレン・サンチェス・ベゾス」に変更した。
結婚式の翌日に「ハリーズ・バー」に到着するベゾス氏とサンチェス氏。ベゾス氏の指には結婚指輪が見える/Stefano Rellandini/AFP/Getty Images
豪華な顔ぶれのお祭り騒ぎ
２７日の祝宴に先立ち、サンチェス氏はディオールの６０年代風の白い特注スカートスーツに身を包み、頭にはオードリー・ヘプバーン風のシルクプリントのスカーフ、ジミー・チュウのヒールにエルメスの「ケリー」バッグという装いでサン・ジョルジョ・マッジョーレ島へ向かった。水上タクシーに乗り込む際には、カメラマンに投げキスを贈ってみせた。
招待客らは週末を通じ、ビンテージのロベルト・カヴァリやドルチェ＆ガッバーナ、オスカー・デ・ラ・レンタ、ヴェルサーチェなど多彩な高級デザイナー服をまとって交流にいそしんだ。サン・ジョルジョ・マッジョーレ島へ向かう道中、カイリー・ジェンナー氏は淡いブルーの編み上げコルセットガウン、キム・カーダシアン氏は洗練されたダークトフィーカラーのドレス、オプラ氏はひだ付きのぴったりしたピンクのドレスを着用した。
最後のイベントに向けて出発するオプラ・ウィンフリー氏＝２８日/Luigi Costantini/AP
最終イベントへ向かう途中のケンダル・ジェンナー、クリス・ジェンナー、カイリー・ジェンナー各氏＝２８日/Luigi Costantini/AP
アッシャーのように、パジャマやランジェリー風の衣装でイベントに向けて出発する招待客もいた/Luigi Costantini/AP
演奏者の詳細は他の多くの部分と同様、おおむね伏せられているが、イタリアメディアの報道では、名テノールとして尊敬を集めるアンドレア・ボチェッリ氏の息子、マッテオ・ボチェッリ氏がエルビス・プレスリーの「好きにならずにいられない」を歌って夜の幕が開けたようだ。アンドレア氏は２０１４年と２２年、キム・カーダシアン、コートニー・カーダシアン姉妹のそれぞれの結婚式でパフォーマンスを披露している。
