人口の3分の1以上が移住を申請した国 その理由とは

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ラグーンで泳ぐ人々=2019年11月28日、ツバル・フナフティ/Mario Tama/Getty Images

ラグーンで泳ぐ人々=2019年11月28日、ツバル・フナフティ/Mario Tama/Getty Images

シドニー(CNN) 南太平洋の島国ツバルで人口の3分の1以上に及ぶ国民がオーストラリアへの移住を申請した。オーストラリアはツバルの人々が海面上昇から逃れるための画期的なビザ制度を用意している。

小さな島々からなり、ハワイとオーストラリアのほぼ中間に位置するこの島国には、最新の政府統計によると、約1万人が暮らしている。

海抜6メートルを超える土地はなく、世界の中でも気候変動による海面上昇のリスクが特に高い地域だ。

オーストラリアは気候変動によって必要が生じたとされる独自のビザ制度を創設。16日から申請の受け付けを開始した。申請期間は約1カ月。この制度でオーストラリアは7月から2026年1月の間に、無作為の抽選で選ばれた280人のビザ取得者を受け入れる。ビザを取得したツバルの人々はオーストラリアに到着した時点で永住権を取得し、就労の権利や、公的医療・教育を受ける権利を得られる。

CNNが確認した公式統計によると、この制度には4000人以上が申請している。

ツバルのテオ首相によると、国土の半分以上は50年までに高潮によって定期的に浸水し、2100年までには国土の90%が定期的に水没するとみられる。

このビザ制度は、2023年にオーストラリアとツバルの間で締結されたより広範な協定の一部であり、オーストラリアは軍事面においても海面上昇においてもツバルを防衛する義務を負っている。

南太平洋で90万平方キロの権利を有するツバルは、地域での影響力をめぐり中国と対立するオーストラリアにとって、重要な役割を担う存在だ。

オーストラリアは、将来ツバルに誰も住めなくなったとしても、ツバルの国家承認を保証するとしている。

ツバルは22年にエジプトで開かれた国連気候変動会議(COP27)で、完全にオンライン化された世界初の国家を目指すと発表した。政府はその後、「国土をデジタル上で再構築し、豊かな歴史と文化を記録し、すべての政府機能をデジタル空間に移行する」計画を策定。オーストラリアは現在、ツバルの「デジタル主権」を承認している。ツバルはこのデジタル主権により「物理的な国土を失った後も、そのアイデンティティーを維持し、国家として機能し続ける」ことを望んでいる。

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