トランプ米大統領、労働統計局長を解任 雇用統計を「不正に操作」と主張
(CNN) 米国のトランプ大統領は、労働統計局(BLS)のマッケンターファー局長を解任する意向を表明した。トランプ氏はマッケンターファー局長が月次雇用統計を「政治目的」で操作したと、証拠もなく非難していた。
BLSが1日に発表した月次雇用統計によると、7月の米国経済の雇用者数はわずか7万3000人増で、予想を大きく下回った。また、5月と6月に発表された雇用者数の増加数も大幅に下方修正され、合わせて25万8000人減少した。
修正後の雇用統計は、2020年の新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)による景気後退以来、3カ月間の雇用ペースとしては最も弱いものとなった。
「私の意見では、今日の雇用統計は共和党と私の評判を落とすために不正に操作された」と、トランプ氏は自身のSNSトゥルース・ソーシャルへの投稿で主張した。
5月と6月の雇用統計は当初の認識よりも悪かったものの、このプロセスでは修正は通常の措置だ。BLSの月次雇用統計は当初発表された数字が不完全なデータに基づいていることが多いため、初回発表後に2回修正され、その後毎年2月に年次修正が行われる。さらに、BLSのエコノミストは季節変動を考慮して雇用統計を平滑化する計算式を用いているが、これがエコノミストの予想外となった場合、修正を悪化させる可能性がある。
トランプ氏は1日、この修正を誤って「間違い」と呼んだ。
「マッケンターファー氏は、雇用者数は7万3000人しか増加しなかったと述べたが(衝撃的だ!)、さらに重要なのは、彼らが大きな間違いを犯し、過去2か月間で25万8000人の雇用者数が減少したことだ」「今年前半にも同じようなことが起きた。どれもマイナスだった。『トランプ』政権下では経済は活況を呈している」(トランプ氏)

解任されたエリカ・マッケンターファー労働統計局長/Shawn T. Moore/US Bureau of Labor Statistics
トランプ氏は、マッケンターファー氏が24年大統領選でハリス前副大統領の勝利の可能性を高めるため、選挙前に雇用統計を「捏造(ねつぞう)」したとも述べた。
「我々は非常に順調だ。今回の数字は選挙前と同じように偽造だったと思う。他にも偽造した例がある。そこで私が何をしたか? 彼女を解任した。正しいことをしたのだ」とトランプ氏は1日、ホワイトハウスのサウスローンで記者団に語った。
マッケンターファー氏は24年1月、上院で86対8の賛成多数で承認された。任期は4年。CNNはマッケンターファー氏にコメントを求めた。政権によると、トランプ氏が後任を決めるまでは、ウィアトロフスキー副長官が長官代行を務める予定。
トランプ氏はかねてBLSの雇用統計とその修正について批判している。1日夜には記者団に対し、「これらの数字には常に問題があった」と述べた。16年の最初の大統領選挙運動中、トランプ氏は失業率についてBLSが発表しているよりも大幅に高いと主張した。24年には、BLSが過去12カ月間で81万8000人の雇用者数を水増ししていたと報告したことを受け、バイデン前政権が隠蔽(いんぺい)工作を画策していると非難した。