プロテインシェイクに毒物を混入され夫に殺害された妻、不可解な症状に苦しめられた10日間 米
(CNN) 米コロラド州に住んでいたアンジェラ・クレイグさんは、最期の日々を苦しみといら立ちの中で過ごした。医師らは、クレイグさんが活動的な生活を送っていたにもかかわらず、突如不調に陥った原因を突き止めることができずにいた。
2023年、家族や友人たちは2週間近くにわたり、体調が悪化していく43歳のクレイグさんを、車で病院や救急診療所へと連れて行ったが、毎回原因不明のまま帰宅した。10人兄弟の末っ子だったクレイグさんは、テキストメッセージで家族に症状を訴えていた。
奇妙な症状は10日間続き、脳死と診断されるまでに悪化。クレイグさんは最期の瞬間まで答えを得られないことにいら立ちを募らせていた。
義理の姉であるレニー・プレイさんによると、最期の言葉は「なぜ私はつらいの?」だった。
それから2年以上が経った先月30日、夫で6人の子どもの父親であるジェームズ・クレイグ被告が、プロテインシェイクに毒物を混入し妻を殺害した罪で有罪評決を受けた。
歯科医である夫は仮釈放なしの終身刑を言い渡された。
ジェームズ被告は起訴内容を否認。周囲には妻が自殺願望を持っていると話していた。
クレイグさんの友人や家族の証言は、献身的な母親であったクレイグさんが不可解で悪化していく体調に苦しみ、活動的な日常生活を手放さざるを得なくなった様子を浮き彫りにしている。
10日間あまりの入退院
23年3月6日、クレイグさんの一日は、歯科医院に出勤する前に夫が作ってくれるプロテインシェイクを飲むことから始まった。検察によると、夫妻はお互いのためによくシェイクを作っていた。
姉の証言によると、運動をした後、クレイグさんはだるさを感じ、夫と姉に「頭が働かない」とメッセージを送った。姉妹はこの前日、ユタ州で開かれた会議に一緒に出席し、帰宅したばかりだったという。
裁判資料によると、「お腹の調子はいいんだけど、頭が変でめまいがする。すごく奇妙」と、クレイグさんは夫にテキストメッセージで伝えた。
職場にいたジェームズ被告は、この数時間後、妻を病院に連れて行った。
病院では、MRIやCTスキャン、血液検査など複数の検査が行われたが、異常は見つからず、帰宅した。
翌日、クレイグさんは夫にテキストメッセージで「薬を飲まされたような感じ」と伝えたという。
姉の証言によれば、クレイグさんは内耳炎を起こしたと思った。また、食事も運動もしていないのに血糖値が高いことにも気づき、家族に糖尿病の病歴があることから、糖尿病の可能性も考えていたという。
この頃、診断がつかず不安といら立ちを募らせるクレイグさんからの家族宛てのテキストメッセージは頻度を増していた。
運動への情熱は二の次に
クレイグさんは糖尿病なのではないかとの懸念を持ち続け、最初の入院から3日後、親友の一人、ニッキー・ハーモンさんに血糖値の確認を頼んだ。ハーモンさんの娘は糖尿病を患っている。
クレイグさん宅を訪れたとき、クレイグさんは「よく眠れていないようで、ソファにへたりこむようだった」とハーモンさんは振り返る。
ハーモンさんによれば、「彼女は隣にプロテインドリンクを置いていた」「夫が家を出る前にプロテインシェイクを作ってくれたと話していた」。
21歳の娘は、クレイグさんについて非常に活動的で、エアロバイクやヨガ、ピラティスが好きだったと証言している。母親がこんなにも疲れていると話すのは珍しいことだった。
母親は症状が悪化する前から「めまい」や「重苦しさ」を感じており、「吐き気」や「足元のふらつき」を訴えていた。
その後、クレイグさんの症状は重くなり、自力で起き上がることができず、床をはって助けを求めなければならないほどだったと、検察は述べた。
3日間で2度目の診察を受けるため、再び病院を訪れたクレイグさんは数日後に退院した。