トランプ政権、主要な気候評価まとめる科学者らを全員解任 米国の気候変動リスク評価に暗雲
(CNN) トランプ米政権が、気候変動に関する権威ある評価に携わる科学者や執筆者を解任したことが分かった。これらの科学者らは気候変動が米国にどのような影響を及ぼすかを見極める次回の評価に取り組んでいたが、全員解任された。
評価の執筆者らに28日に送られた電子メールで明らかになった当該の内容は、CNNも確認した。
この措置で政権は、議会が義務づけた報告を丸々取りやめ、別の報告を作成することが認められるようになる。これにより格段に疑わしい内容の報告が、広く受け入れられた気候科学に基づく報告に取って代わる可能性がある。圧倒的な科学的証拠が米国に迫る温暖化の脅威を示唆する中、新たな報告はそれらを無視する内容になりそうだ。
2023年に公開された最新の「国家気候評価」の結果、気候変動は既に米国の全地域に変化を及ぼしていることが分かっている。極端な気候の事象がより頻繁かつ激しい水準で発生し、大きな被害をもたらすケースが相次ぐ。
議会が義務づけたこれらの評価は、米国地球変動研究プログラム(USGCRP)に加わる連邦政府内外の科学者らが実施。4年ごとに作成してきた。次回の評価は27年に発表予定となっている。
解任される評価の執筆者の数は約400人。これより前、米航空宇宙局(NASA)はUSGCRPを支援するコンサルティング会社ICEとの主要な契約を既に停止しており、評価プロセスにおける問題の発生を示す初期の兆候となっていた。
サンノゼ州立大学の教授で、次回6度目の国家気候評価の執筆に携わる予定だったダスティン・マルバニー氏は「この報告を失うことで、極端な気候や山火事、海面上昇といった地球温暖化で直面する重要な変化への準備が不足する」との懸念を示した。
ワシントン大学の気候科学者、ミード・クロスビー氏は、連邦政府機関内外の専門家が携わる報告には高い信頼性が伴うと強調。今回の解雇で、専門家らが担保するそうした科学的な信頼性も失われるリスクに言及した。
改変の可能性があるのは評価のプロセスだけではない。USGCRPのウェブサイトの発表によれば、「USGCRPの業務と構成は現在検討の対象となっている」という。