米国の空に広がる超音速旅客機の可能性 立ちはだかる現実

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オーバーチュアの巡航速度はマッハ1.7に達する/Boom Supersonic

オーバーチュアの巡航速度はマッハ1.7に達する/Boom Supersonic

問題は、どれだけの人がその「超音速プレミアム」を支払うかということだ。

コンコルドの時代に比べて、デジタル通信は飛躍的に進歩した。ビデオ通話の普及によって対面での会議の必要性は減り、乗客は機内でもメールを確認したり、オンライン会議に参加したりできるようになった。その結果、亜音速飛行中の機内での空き時間は急速に減少している。

実現への課題

航空コンサルティング会社エアロダイナミック・アドバイザリーの運営責任者で、長年ブーム社のビジネスモデルに懐疑的な見方を示してきたリチャード・アブラフィア氏は、オーバーチュアの市場投入には120億〜150億ドルが必要だと見積もる。しかし、これまでにブーム社が調達した資金は約8億ドルにとどまっているという。23年に公表された最新の資金調達情報によれば、同社が保有していた資金は約7億ドルだった。

これに対し、オストロワー氏はこの計画を「非現実的」と指摘している。

ブーム社が直面する多くの課題のうち、一つは規制当局による承認だ。米連邦航空局(FAA)の認証手続きは、19〜20年に発生したボーイングの旅客機「737MAX」の運航停止以降、大幅に遅れている。

ブーム社の計画では、飛行試験期間は1年のみとされているが、エアバスA350の場合、13年6月の初飛行から初納入まで約1年半を要した。

しかしながら、ショール氏は「ここに成功の保証はない。統計的には、失敗する可能性のほうが高い。それでも、実現は十分に可能だ」と語る。「技術はある。市場もある。乗客も航空会社もいる。陸上飛行に関する規制も、比較的短期間で整備されると信じている。あとは、我々がやり切るだけだ」

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