15社搭乗で100万マイル付与、「マイレージ長者」たちの挑戦秘話
(CNN) スカンジナビア航空(SAS)は昨年、スカイチームへのアライアンス(航空連合)移籍を記念し、同連合加盟の15社に搭乗した利用者に100万マイルのボーナスポイントを付与するという大型キャンペーンを実施した。期間中に条件をクリアし、マイレージ長者となった2人の例を紹介する。
SASはデンマークのコペンハーゲンをはじめ、スウェーデン・ストックホルム、ノルウェー・オスロを主要拠点とする航空会社。昨年まで27年間、米ユナイテッド航空、シンガポール航空など世界の大手25社が加盟するスターアライアンスのメンバーだった。移籍先のスカイチームには米デルタ、英ヴァージン・アトランティック、欧州エールフランスKLMなどが加盟している。
航空会社のマイレージサービスを利用する旅行者にとって、アライアンスの変更は一大事といえる。同じアライアンスの中なら、別の航空会社の便を利用してもマイルが加算されるという仕組みがあるからだ。
SASのアロン・バックストロム副社長はこう語る。「私たちは27年間、顧客に『この航空会社が一番だから、ここにしなさい』と言い続けた。それで、たとえば米国内線ならユナイテッドを使うということが、皆さんの習慣として根付いていた」
「ところが今回、連合メンバーの顔ぶれが一新された。各社を利用してみたいと思ってもらうために、何か大きなことを仕掛ける必要があると考えた」
そこで考案されたのが、大型のチャレンジキャンペーンだ。昨年10月8日から12月31日までの期間中、SASのマイレージプログラム「ユーロボーナス」の会員がスカイチーム加盟15社の便に搭乗すれば、100万マイルを付与するという内容だった。
会員約800万人のうち、5万人近くが参加した。キャンペーンのために登録した新会員も約7000人に上った。
最終的に約900人が15社を制覇して、マイレージ長者となった。
CNNがインタビューした2人の例からは、弱気な人には向かない挑戦だったことがうかがえる。
「世界旅行が夢だった」

SASのチャレンジはナラ・リーさんにとって初めての本格的な一人旅だった/Nara Lee
その1人が、韓国北部・春川(チュンチョン)の旅行系ユーチューバー、ナラ・リーさん(36)だ。マイレージの世界に足を踏み入れたのは初めてだった。
「航空会社のアライアンスのことはそれまで知らなかった。この経験で仕組みが初めて分かった」と話す。
SASについても全く知識はなかったが、チャレンジ期間も半ばを過ぎた11月中旬になってこの話を聞き、すぐにやってみたいと思った。
「ネイリストとして15年間働いていたけれど、若い頃からずっと世界を旅するのが夢だった」という。
「ある日、ユーチューブでSASのキャンペーンを取り上げた動画を見かけて胸が高鳴った。国際線を自分で予約したことはなく、英語も話せなかったが、どうしても挑戦したいという気持ちでいっぱいになった」
リーさんはマイルを獲得するために、エコノミークラスでの飛行に160時間以上を費やした。アジア各地を回った後、アメリカ大陸へ渡り、大西洋を越えて欧州を訪れ、さらに東南アジアを経由してソウルまで戻った。
100万マイルを手に入れてからは、それを活用して飛び回っている。3月にはエールフランスでのパリ往復で12万7500マイル。今度はビジネスクラスに乗った。4月には7万マイルを使ってベトナム・ホーチミンを訪れた。
「中年の危機」のまっただ中に
もう1人の参加者は、英イングランド南部イーストボーン在住のバリー・コリンズさん(44)。10年ほど前から、普段の買い物で熱心にマイルを集め、「無料の」旅を楽しんでいた。