FAA認定の自律着陸機能を搭載した航空機、フライトの未来を変えるか

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自律着陸をCNNが体験

メリーランド州ヘイガーズタウン(CNN) 米航空機メーカーのシーラス・エアクラフトは、ピストンエンジン1基の航空機に連邦航空局(FAA)が初めて認定した自律安全システムを搭載する。同社は安全性の観点で空の旅の未来を変えようとしている。

「セーフ・リターン」と呼ばれるこのシステムは「SRシリーズG7+」機に光沢のある赤色のボタンの形で備え付けられる。シーラスは2020年8月、より大型で高価な「ビジョン・ジェット」で初めてセーフ・リターンの認証を取得した。

CNNは、機体がどのように自動着陸するのかを取材した。

仕組みはいたってシンプルだ。

離陸は何も変わらない。パイロットが機体を滑走路まで操縦する間、乗客はエンジンのごう音を感じる。空中では、通常の飛行機と全く同じ機能を備えている。

飛行中、パイロットに問題が発生した場合、セーフ・リターンが介入する。赤いボタンは後部座席の乗客に最も近い頭上にある。

緊急時に機体を速やかに着陸させる「セーフ・リターン」ボタン/Cirrus Aircraft
緊急時に機体を速やかに着陸させる「セーフ・リターン」ボタン/Cirrus Aircraft

ボタンを1回押すと、飛行機は一番近く利用可能な滑走路にルートを自動設定し、完全に飛行機の制御を行う。

「まず初めに行うことは、決定を下すことだ」と、シーラスのセールス・マーケティング担当上級副社長、ベン・コワルスキー氏はCNNの取材に答えた。「『どこに向かうべきか?』を決定するアルゴリズムがあり、パイロットとほぼ同じように選択を行っている」

緊急ボタンが誤って押された場合に備え、システムにはパイロットが起動を遮断できるよう10秒間の待機時間が設けられている。

飛行機の統合操縦室には、着陸に必要な機能がすべて備わっている。燃料の状態、天候、風などを解釈できるのだ。

機体に緊急事態が発生していることは管制官にも通知され、乗客は適宜管制官と通信できるという。

同社のパイロット、アイビー・マクアイバー氏が実際に操縦しているところを見せてくれた。同氏は初めてセーフ・リターンを作動させたときは、操縦を手放すことが難しかったものの、エンジニアリングの魔法を見ているようだったと語る。

1984年に設立されたシーラスは、「自家用航空」のリーダーを自認している。

「航空は世界をさらに良いものにすると信じている」とコワルスキー氏は語る。同社の顧客のほとんどは、他のコストを削減するために飛行機を活用する経営者だという。

購入者の大半はプロのパイロットではなく、週に数回飛行する程度のため、同社は飛行をより簡単で安全かつ単純なものにできるよう操縦室とユーザーインターフェースの開発を続けている。

同社は独自の「シーラス機体パラシュートシステム」も開発した。初めてFAAの認定を受けたこの仕組みは、緊急時に機体全体を浮かばせて地面に着陸させる。同社の機体に標準装備として搭載されているという。

より多くの人々に航空の世界を知ってもらい、安心して使ってもらう。シーラスが描く未来はシンプルだ。

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