中国共産党、エンタメ業界の締め付け強化 俳優の動画配信やファン活動を規制

中国の人気女優、鄭爽さん。脱税などに絡み当局から罰金の支払いを命じられた/VCG/Getty Images

中国の人気女優、鄭爽さん。脱税などに絡み当局から罰金の支払いを命じられた/VCG/Getty Images

香港(CNN) この1週間、中国のエンターテインメント業界は同国共産党政府からの厳しい締め付けにさらされた。習近平(シーチンピン)国家主席は政治的な反対意見や社会運動、イデオロギーとしてのリベラリズムに対する取り締まりを強化。民間企業にも圧力をかけている。

中国を代表する女優の一人、趙薇(ヴィッキー・チャオ)さんはこのほど、国内のインターネットのほとんどから自らの存在が一夜にしてかき消えるのを目の当たりにした。大手SNS「微博(ウェイボー)」にあった自身のファンページはアクセス不能となり、出演した映画やテレビ番組はストリーミングサイトで視聴できなくなった。出演者から趙さんの名前も削除されている。これらの作品の中には20年前にさかのぼるものもあった。

また各放送局や動画サイトは、同じく人気女優の鄭爽(ジェン・シュアン)さんの出演作も放映・公開の中止に踏み切った。鄭さんには27日、税務当局から脱税などによる4600万ドル(約51億円)相当の罰金支払いが命じられた。

こうした措置が取られる中、ソーシャルメディア上では26日に、「不適切にふるまうセレブリティー」のリストが公開されていた。リストは中国のメディア当局が作成したと言われており、そこには趙さんと鄭さんのほか、今月強姦容疑で逮捕された中国系カナダ人の人気ポップスター、クリス・ウー(中国名・呉亦凡)容疑者の名もあった。

趙さんが当局の標的にされた理由は現時点で明確ではない。CNNは趙さんの代理人にコメントを求めている。

中国の芸能人が政府の標的となる事例はこれまでにもあったが、今回の締め付けはより範囲が広く、国内のインターネットから存在がほぼ一掃されるといった一段と厳しい措置が取られている。

さらに当局の矛先は、若年層の間で人気の高まるファンカルチャーにも向けられる。中国国家インターネット情報弁公室(CAC)は27日、10の施策を発表し、「混沌」状態と形容する芸能人のファンクラブを「浄化」すると発表した。これには人気をもとにした芸能人のランク付けを禁じたり、タレント事務所やファンクラブへの規制を強化するといった内容が盛り込まれている。

この前日には、人気の高い動画サイトが「不健康」との理由からアイドルタレントの出演する全動画の配信を停止する措置もとっていた。

中国共産党はかねてエンターテインメント業界に厳しい検閲を行う一方、産業自体の成長は促進し、映画や番組の制作を支援し続けてきた。そこにはハリウッド映画をはじめとする外国の作品を上回る人気を国産のコンテンツで獲得したいとの思惑があった。

しかし習国家主席の下、党が思想や文化の統制に一段と力を入れるようになった結果、圧倒的人気を誇るスターの存在やファンの熱狂はますます危険視され、とりわけ若者に悪影響を及ぼすとみなされるようになった。

中国のソーシャルメディア上では、芸能界を狙った今回の締め付けについて、1966年から76年まで続いた文化大革命を想起させるとの見方も出ている。政治と社会が大混乱に陥ったこの時期、芸術や文化は党のプロパガンダを促進するものに制限されていた。

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