中高年世代で虫垂がんの症例数が急増、親の世代に比べて3倍以上 米

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クリス・ウィリアムズさんは48歳のときに虫垂がんと診断された/Courtesy Toni Dubois

クリス・ウィリアムズさんは48歳のときに虫垂がんと診断された/Courtesy Toni Dubois

(CNN) 米国で虫垂がんと診断される患者が、中高年に差しかかったX世代とその下のミレニアル世代で、親の世代に比べて急増している。

虫垂は腹部の右下にある大腸から伸びた小さな袋状の臓器で、免疫系を支えている。米国の患者は推定で年間100万人に1~2人程度と比較的まれ。しかしこのほど医学誌に発表された最新の研究によれば、1941~49年生まれの世代に比べると、虫垂がんの症例数は76~84年生まれの世代では3倍以上、81~89年生まれの世代では4倍以上に増えていることが分かった。

「こうした世代的な影響は大腸がん、直腸がん、胃がんで確認されていることなどから、まれな虫垂がんに関する研究に関心を持った。しかし我々が発見した発生率や傾向は憂慮すべきものだった」。論文を発表したバンダービルト大学のアンドレアナ・ホロワティジ助教はそう解説する。

同大とウェストバージニア大学、テキサス大学の研究チームは、1975年から2019年の間に米国で虫垂炎と診断された20歳以上の4858人のデータを分析した。研究には米国立がん研究所のデータを利用した。

その結果、特に1945年以降に生まれた世代で虫垂がんが急増していることが分かった。

今回の研究では急増の具体的な原因については調査していない。ただ、虫垂がんの検査や診断技術の進歩によって発見が増えたとは思えないと指摘。「虫垂がんには標準化された検査技法が存在しない。症例の多くは、急性虫垂炎などの発症によって偶然発見されている」(ホロワティジ氏)

研究チームは「環境要因に関連して、現在中年期に入った世代のリスクが増大している可能性」を指摘。この傾向は結腸がん、直腸がん、胃がんでも報告されていることから、そうしたリスク要因が消化器全体のがんに関係している可能性があるとした。

例えば肥満は虫垂がんや大腸がんのリスク要因になることが分かっており、そうしたリスク要因を見極めることが、がん予防法の確立につながる可能性がある。

「消化管の他のがんと並行してそうした傾向がみられるという事実は、若い世代の消化管がんの発症に関係する共通のリスクと特有のリスクが存在することを示唆している」とホロワティジ氏は説明する。

虫垂がんは一般的に、腹部や骨盤の痛み、膨張感、吐き気、嘔吐(おうと)など、虫垂炎に似た症状を伴う。虫垂がんは虫垂の摘出手術で治療できることもあるが、もし転移していれば化学療法が行われることもある。

「虫垂が破裂する前に発見されなければ、がん細胞が腹腔全体に拡散してしまうこともある」「そのため患者2人のうち1人は、がんが移転した状態と診断される」(ホロワティジ氏)

虫垂がん患者の治療を担当しているメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのアンドレア・セルセク所長によると、若い世代の虫垂がんが増えている原因としては、ライフスタイルの変化や食生活の変化、環境の変化といった要因が指摘されている。

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