アルゼンチン上院、中絶法案否決 ローマ法王も反対

アルゼンチンで人工妊娠中絶を合法化する法案が否決された/EITAN ABRAMOVICH/AFP/AFP/Getty Images

2018.08.09 Thu posted at 18:40 JST

(CNN) アルゼンチン国会の上院は8日夜、人工妊娠中絶を合法化する法案を審議し、9日早朝の採決で反対38票、賛成31票、棄権2票で否決した。

同国下院は今年6月、法案を可決していた。より保守的とされる上院での否決は、野党議員1人が最近、法案支持を撤回したことが響いたとみられる。

アルゼンチン出身のローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は合法化法案については直接的な言及は避けてきたが、下院での可決の数日後、ナチス・ドイツの優生学思想も引き合いに出し強く反対する考えを前面に出していた。

今年3月には国内議論が高まる中で書簡を公表し、国民に生命と正義の防衛への寄与を促していた。

合法化法案は妊娠の最初の14週間での中絶の権利拡大などを女性に認めていた。現行の法律ではレイプによる妊娠や母体が危険な場合などに限って許可していた。

同法案をめぐってはアルゼンチン国内で反対派による広範な街頭活動が発生。ローマ・カトリック教会も「生命のためのミサ」を催すなどした。半面、支持派の活動も活発で、国際人権組織「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の南米担当幹部は同国で過去になかった機運の高まりがあったと指摘した。

法案をめぐっては国内を二分する議論が繰り広げられ、街頭活動も活発に行われた

法案支持の動きは外国にも波及し、チリ、ウルグアイ、メキシコ、ペルーやスペインでも集会開催などが報告された。

人工妊娠中絶問題ではアイルランドで今年5月、合法化の是非を問う国民投票が実施され中絶を容認。中絶支持派の間では同国での結果を受け、中南米諸国でも中絶関連法を修正させることへの期待が高まっていた。中南米では、妊娠可能年齢に入る女性の97%以上が制限が多い中絶関連法を施行する諸国に居住しているという。

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