写真撮影の観光客、つまずいて絵画を破損 イタリアの美術館でまた被害
(CNN) イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館で、写真のポーズを取っていた入場者がバランスを崩し、後ろにあった17世紀の絵画にぶつかって破損させた。同美術館が23日、CNNに明らかにした。
破損したのは、イタリアの画家アントン・ドメニコ・ガッビアーニが1695~1700年ごろに描いたトスカーナ公フェルディナンド・デ・メディチの肖像画。
防犯カメラの映像には、この作品の前でポーズを取っていた男性が後ろ向きによろけ、作品に触れてしまったことに気づいて飛び上がる様子が映っている。
現地のメディアは、絵画に描かれたトスカーナ公の足首のあたりに小さな破れ目ができた写真を流している。
男性は当局に通報され、絵画は修復のため展示から外された。ただ、被害は「軽微」で、近いうちに展示を再開できるだろうと美術館は説明している。
同美術館のシモーネ・ベルデ館長は今回の事件を受けて声明を発表し、「ミームの作成やSNSに掲載する写真の撮影を目的とする来場者」を非難。「今後は具体的な制限を設け、当館の理念にそぐわない行為や文化遺産を尊重しない行為を防止する」とした。
美術館の入場者がSNS映えする写真を撮ろうとして展示品を傷つけてしまう事故は各地で後を絶たない。数日前にはイタリアの別の美術館で、写真を撮っていた観光客が展示品のクリスタルの椅子に座って破損させた。
4月にはオランダの美術館で、時価数千万ドルといわれるマーク・ロスコの巨大な絵画を子どもが破損した。