米バージニア大学学長が辞任表明 トランプ政権から圧力受ける中
(CNN) 米バージニア大学のジェームズ・ライアン学長が27日、辞任する意向を表明した。 大学によるDEI(多様性、公平性、包摂性)プログラムの解体に向け、司法省から圧力を受ける中での辞任となる。
2018年から9代目の学長に就任しているライアン氏は、大学関係者への書簡で「非常に重苦しい気持ち」での辞任であり、苦渋の決断だったと明らかにした。その上で大学とトランプ政権との対立や、連邦政府からの補助金を失う懸念に言及した。補助金が停止されれば、影響は広範囲に及ぶという。
実際にいつ辞任するのかは現時点で不明。
トランプ政権は連邦政府による補助金に狙いを定め、複数の高等教育機関に強く圧力を掛けている。両者の間にはキャンパス内の管理や学問の自由、政治的イデオロギーを巡って対立がある。政権側は連邦政府機関や大学、民間企業などにおけるDEIの取り組みを標的に、包括的な大統領令を複数発している。
ライアン氏の辞任は米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じた。同氏は司法省の他、保守系の団体からも圧力を受けていたという。
司法省はかねて、同大が公民権法第6編を順守しているかどうか精査してきた。この項目では連邦資金を受け取るあらゆる機関に対し、人種や肌の色、出身国に基づく差別を禁じている。
司法省は27日、CNNの取材に答え、高等教育機関における指導部の交代を歓迎すると明言。「我が国の崇高なる公民権法を守ろうとする思いが表れている」との認識を示した。
バージニア大学は3カ月前、アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)禁止への順守を確認するよう求める書簡を受け取っていたが、大学当局者は再三延期を申し出ており、現在もなお確認に応じていない。司法省で公民権を担当するハーミート・ディロン次官補がCNNに明らかにした。
ディロン氏は大学指導部に対し、ライアン氏にDEIプログラム解体が可能だとは思えないとする考えを伝えていたという。
3月、大学の理事会はDEIプログラムに携わる部局の解体を全会一致で可決していたが、こうした措置は司法省や一部の保守系団体にとって不十分だった。ディロン氏によれば、大学側は「一連の婉曲(えんきょく)表現を駆使し、全く同じ差別的プログラムの看板を付け替えたに過ぎなかった」。現在「そうしたプログラムは連邦法の下で違法となる」と、同氏は説明する。
CNNはバージニア大学とホワイトハウスにコメントを求めている。