イラン核施設爆撃、1カ所にバンカーバスター使用せず 標的の深さが理由と米軍制服組トップ

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トンネル入り口が被害を受けたイラン中部イスファハンにある核施設の衛星画像/Maxar Technologies/Handout/Reuters

トンネル入り口が被害を受けたイラン中部イスファハンにある核施設の衛星画像/Maxar Technologies/Handout/Reuters

ワシントン(CNN) 米軍がイランの核施設3カ所に対して実施した21日の爆撃について、このうちの1カ所に大型貫通爆弾「バンカーバスター」を使用しなかったのは、当該の核施設があまりにも地中深くにあり、爆弾が効果を発揮しない公算が大きかったからだという。 軍の制服組トップが連邦議会上院議員への26日の説明で明らかにした。

ケイン統合参謀本部議長によるこの説明は、発言を直接耳にした3人の人物やその要点を伝えられたもう1人の人物が言及した。当該の核施設はイラン中部イスファハンにある施設で、米軍が同施設にバンカーバスターを使用しなかった理由を説明したのは初めてとみられる。

イスファハンの地下施設にはイランが備蓄する濃縮ウランの6割近くが蓄えられていると米当局者はみている。これらのウランはイランの核兵器製造に必要になる。

米軍のB2爆撃機は10発以上のバンカーバスターをイランのフォルドゥ、ナタンズの両核施設に投下した。しかしイスファハンの核施設に対する攻撃は、潜水艦から発射した巡航ミサイル「トマホーク」によるもののみとなっていた。

上院議員への説明は機密情報としてケイン氏の他、ヘグセス国防長官、ルビオ国務長官、ラトクリフ中央情報局(CIA)長官が行った。ケイン氏の報道官は、機密扱いの説明だったことを理由にコメントを控えた。

説明の中でラトクリフ氏は議員らに対し、情報機関の評価として、イランの濃縮核物質の大半はイスファハンとフォルドゥの地下にあるとの見方を伝えたという。米当局者1人が明らかにした。

議員への説明を行ったトランプ政権当局者らは、濃縮済みのウランがイラン国内のどこに備蓄されているのかについて、質問への回答を避けた。

トランプ大統領は27日、米軍の攻撃に先駆けてイラン核施設3カ所からは何も運び出されていないと改めて主張した。

しかし26日に行われた機密の説明を受け、共和党議員らは、米軍の攻撃がイランの持つ核物質全てを消滅させたわけではない可能性があることを認めた。その一方で、そもそもそれは米軍の任務の一部ではなかったとも指摘した。

共和党のグレッグ・マーフィー下院議員はCNNの取材に答え、「任務の目的は、イランが進める核開発プログラムの特定の側面を排除することで、それらは実際に排除された。核物質を取り除くことは任務に含まれていなかった」と述べた。

米ミドルベリー国際大学院の教授で兵器の専門家、ジェフリー・ルイス氏はCNNに対し、イランがイスファハンの核施設のトンネルにアクセスしたことが衛星画像から分かると指摘した。

今月27日に撮影されたイスファハン核施設の衛星画像。車両の存在や再び開いたトンネルの入り口が拡大表示されている/Planet Labs
今月27日に撮影されたイスファハン核施設の衛星画像。車両の存在や再び開いたトンネルの入り口が拡大表示されている/Planet Labs

それによると26日の時点ではイスファハンに一定数の車両が存在しており、27日午前までには少なくとも一つのトンネルの入り口から障害物が取り除かれている。

「イランが入り口を封鎖した時点で(高濃度ウランの)備蓄が依然トンネル内にあったとしても、現時点では備蓄は別の場所にあるのかもしれない」(ルイス氏)

ルイス氏によれば、米企業プラネット・ラブズが撮影した27日の追加の衛星画像では、トンネルに続く入り口が再び開いているのが確認できるという。

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