ガザ住民と共に飢えて力尽きる医師や記者、支援111団体がイスラエルに封鎖解除を要求
AFPの記者組合SDJは21日、ガザに残ったフリーランスジャーナリストの中には飢えのために衰弱が激しく仕事が続けられなくなった人もいると指摘し、「直ちに介入しなければ、ガザに残った最後のジャーナリストたちが死ぬ」と訴えた。
SDJによると、AFPはガザ地区にいるフリーランスの記者1人とカメラマン3人、フリーランスのビデオジャーナリスト6人と連絡を取っているという。
AFPカメラマンのバシャール・タレブさん(30)は19日、「もう取材を続ける力がない。体がやせ細って歩くことができなくなった」とフェイスブックに書き込んでいた。
バシャールさんは今年2月以来、ガザ市の自宅の残骸の中で、母親や兄弟姉妹などの家族と暮らしているという。20日には兄弟のうち1人が「飢えのために倒れた」と伝えた。
AFPの別のスタッフ、アハレムさんは、「取材やインタビューやドキュメンタリー作成のためテントを出るたびに、もう生きて戻って来られないかもしれないと思う」と打ち明けていた。最大の問題は食料と水の欠乏だと話しているという。
フランスのジャンノエル・バロ外相は22日、SDJの要請を受け、一部ジャーナリストの同僚が「数週間以内に」退避できるよう、尽力していると述べた。ガザの人道状況については「非人道的」と形容、「直ちに止めなければならないスキャンダル」と位置付けている。
AFPによると、2024年1月~4月にかけては8人の従業員とその家族をガザから退避させることに成功した。現在は厳重な封鎖が続く中で脱出は極めて困難になっているとしながらも、同じようにフリーランスのスタッフを退避させる措置を講じていると説明。「彼らの命が危険にさらされている。彼らと家族の避難を直ちに認めるよう、イスラエル当局に緊急要請している」言い添えた。
イスラエルとガザの戦争で命を落とした年間でのジャーナリストの人数は、米民間団体のジャーナリスト保護委員会が30年前に集計を始めて以来、世界のどの紛争よりも多くなった。
2023年10月にこの戦争が始まって以来、少なくとも186人のジャーナリストや報道関係者が殺害され、89人が投獄されている。
「AFPは1944年の設立以来、紛争のためにジャーナリストを失ってきた。負傷したり、捕虜になったりした人もいる。しかし同僚が飢えて死んでいく姿を目の当たりにした記憶を持つ者は誰もいない」。SDJは声明でそう述べている。