飢えに苦しむガザ住民、国連の食料庫に殺到 死傷者も

パレスチナ自治区ガザ地区の住民がWFPの倉庫に押し寄せ、小麦粉の袋を持ち去った=28日、ガザ中部/Abdel Kareem Hana/AP

パレスチナ自治区ガザ地区の住民がWFPの倉庫に押し寄せ、小麦粉の袋を持ち去った=28日、ガザ中部/Abdel Kareem Hana/AP

(CNN) 飢餓状態が深刻化しているパレスチナ自治区ガザ地区中部で28日、食料を求めて殺到した住民が国連の倉庫に押し入り、少なくとも2人が死亡、複数の負傷者が出ている。

住民が詰めかけたガザ中部デイルアルバラの国連世界食糧計画(WFP)の倉庫には、配給予定の食料が保管されていた。

WFPによると、死傷者が出た経緯は現時点で分かっておらず、状況の確認にあたっている。それでもこうした事態の発生は、イスラエルによる支援物資の搬入阻止を直接的な原因とする状況の深刻化を物語ると指摘した。

CNNが入手した現場の映像には、倉庫内に詰めかけた数百人が手あたり次第に食料を持ち去る様子が映っている。小麦粉の袋をつかんだ男性の顔は血まみれだった。

倉庫の外では小麦粉と思われる袋を抱えた人々の背後で銃声が聞こえていた。

WFPの倉庫から小麦粉の袋を奪い、去って行く人々=28日、ガザ中部/Abdel Kareem Hana/AP
WFPの倉庫から小麦粉の袋を奪い、去って行く人々=28日、ガザ中部/Abdel Kareem Hana/AP

11週間に及んだイスラエルによる支援物資の封鎖は、ガザの住民200万人あまりを飢餓寸前に追い込んだ。「食料など支援物資の搬入が80日間にわたって完全に阻止された後、人道支援は制御不能状態に陥った」とWFPは指摘。「ガザ食料支援を即刻拡大する必要がある。もう飢えることはないと納得してもらうにはそれしかない」と強調した。

パレスチナのイスラム組織ハマスに対するイスラエルの戦争は、2023年10月7日に始まって以来、28日で600日目になった。同盟国を含む国際社会がイスラエルに対する非難を強める中でも、軍事作戦が弱まる兆しは見えない。パレスチナ保健省によると、これまでの死者は5万4000人を超えた。

デイルアルバラでCNNの取材に応じた住民のアブ・アムルさんは「600日が600年のように感じられる」と言い、住民はイスラエルの攻撃で死ぬか、飢えて死ぬかの恐怖にさらされていると語った。

メールマガジン登録
見過ごしていた世界の動き一目でわかる

世界20億を超える人々にニュースを提供する米CNN。「CNN.co.jpメールマガジン」は、世界各地のCNN記者から届く記事を、日本語で毎日皆様にお届けします*。世界の最新情勢やトレンドを把握しておきたい人に有益なツールです。

*平日のみ、年末年始など一部期間除く。

「イスラエル」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]