日本を含む25カ国外相がイスラエル非難、ガザ市民の「非人道的な殺害」指摘

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ガザ人道財団(GHF)から配給された援助物資を運ぶ人々=6月8日撮影/Eyad Baba/AFP/Getty Images

ガザ人道財団(GHF)から配給された援助物資を運ぶ人々=6月8日撮影/Eyad Baba/AFP/Getty Images

(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区への食料援助をめぐり、西側25カ国の外相が21日、イスラエルを非難する声明を発表した。パレスチナ保健省によると、人道支援物資を受け取ろうとして死亡した住民は今年5月以来で1000人を超えた。

国連によると、死傷者のほとんどは、イスラエルと米国を後ろ盾とする「ガザ人道財団(GHF)」運営の援助物資配給所へ向かう途中だった。同財団は5月27日から運営を開始している。

パレスチナ当局や目撃者によると、死傷者が出た事態の大部分にイスラエル軍が関与していた。

イスラエル軍は、一部については群衆に向かって警告射撃をしたことを確認。6月下旬には「住民との摩擦」を最小限に抑えるため、援助拠点に至るルートを「再編」したと述べていたが、その後も殺害は続いた。

西側諸国の外相は21日に発表した声明の中で、「ガザの市民の苦しみはかつてないほど深刻化している」と指摘。「イスラエル政府の援助物資配給モデルは危険であり、不安定化をあおってガザ住民の人間としての尊厳を奪っている。我々は、絞り出すような食料援助と市民の非人道的な殺害を非難する」と述べ、子どもたちや、水と食料という最も基本的なニーズを満たそうとする人たちが殺害されていると指摘した。

声明にはオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国の外相と、欧州連合(EU)の平等・準備・危機管理委員が署名した。

ガザの保健当局によると、過去24時間だけで援助物資を入手しようとした99人が死亡し、少なくとも650人が負傷した。

援助物資を求めて殺害された人は、5月下旬以来の合計で1021人、負傷者は6511人に上る。今回の戦争が始まって以来の犠牲者は5万9029人になった。

イスラエルは3月2日から5月21日までの11週間にわたってガザ地区への援助物資の搬入を阻止していた。国連機関はガザ地区の飢餓と栄養不良が深刻化の一途をたどっているとして危機感を募らせている。

支援団体がガザ地区に入ることは、今もほぼ全面的に制限されている。イスラエルはイスラム組織ハマスによる物資の盗難を防ぐためと主張する。

外相声明では、これほど多くのパレスチナ人が援助を求めて殺害されている実態を「恐ろしい」と形容し、「民間人への必要不可欠な人道支援をイスラエル政府が拒んでいることは容認できない。イスラエルは国際法に定められた義務を果たさなければならない」と強調。イスラエル政府に対し、ガザに対する援助制限を直ちに解除し、国連などの人道支援団体がガザで「安全かつ効率的に」活動することを認めるよう要求した。

イスラエルはこの声明について「ハマスに対する圧力に焦点を当てておらず、現状に対するハマスの関与と責任を認識していない。戦争の継続と双方の苦しみに対する責任はハマスのみにある」との声明を発表した。

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