日本が防衛白書、中国・北朝鮮・ロシアは第2次世界大戦以降最大の安全保障上の課題
ソウル(CNN) 日本の中谷元・防衛相は15日、中国とロシア、北朝鮮が東アジア地域で軍事活動を活発化させており、日本は第2次世界大戦以降で最も厳しい安全保障環境に直面していると述べた。
中谷氏は、2025年版の防衛白書で、「世界平和の既存の秩序は深刻な挑戦を受け、わが国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなっています」と述べた。
白書では、中国による軍事行動を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と指摘した。
中谷氏は、東シナ海の尖閣諸島に言及し、中国政府が周辺での活動を活発化させながら、軍事力を質的にも量的にも急速に強化していると述べた。尖閣諸島は日本が実効支配しているが、中国政府も領有権を主張し、「釣魚島」と呼んでいる。

東シナ海を航行する中国の海洋監視船「海監66号」(上)が日本の漁船(下)に近づこうとするなか、海監66号の横を航行する海上保安庁の巡視船=2013年4月/Kyodo/Reuters
白書は、アジア地域の将来、特に日本にとって最も重要な同盟国である米国と中国との対立について、悲観的な見通しを示している。
白書は、グローバルなパワーバランスが大きく変化し、国家間の競争が顕在化し、特に米中の国家間競争が今後一層激しさを増す可能性があると指摘した。
白書によれば、台湾周辺での中国軍の活動の激化が脅威となっている。中国は中国軍が活動している場所で既成事実を作り、実戦能力の向上を狙っているとみられるという。
白書では、南シナ海における同様の状況をあげ、南シナ海に主要なシーレーンを抱える日本にとっても中国軍の行動は正当な関心事項だとした。
中国国防省の報道官は16日、日本が「中国の脅威」をあおり立て中国の内政に著しく干渉していると述べた。
報道官は、日本が軍事力の制約を緩和する口実を見つけるため虚偽の話をでっち上げていると述べ、日本の憲法が自衛だけに軍事力を制限していることに言及した。
白書は中国政府の一方的な行動にだけ焦点を当てているわけではない。
白書によれば、中国軍は活動範囲拡大の一環として、爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行など、ロシアとの連携を強化している。
白書は、こうした度重なる共同での活動について、日本に対する示威活動を意図していると指摘した。
白書によれば、2024年度の緊急発進(スクランブル)の回数は計704回で、中国機に対して464回、ロシア機に対して237回だった。これはほぼ1日に2回の割合となる。
ロシアによる3年半におよぶウクライナ侵攻と、それに伴うロシア軍の増強は、米国の主要な同盟国としての日本にとって懸念材料となっているという。白書は、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分だとも指摘した。
白書によれば、北朝鮮は、核兵器とそれを運搬する弾道ミサイルの開発を進めている。
北朝鮮の弾道ミサイルは核兵器を搭載でき、日本を射程に収めているとみられるという。
白書は、北朝鮮の軍事動向が日本の安全保障にとって、これまで以上に重大かつ差し迫った脅威だとした。
今回の防衛白書は、米インド太平洋軍のパパロ司令官が4月に表明した懸念と重なるところが多い。
パパロ氏は、中国が前例のない軍の近代化と、米国本土や同盟国、パートナーを脅かす攻撃的な行動を続けていると指摘していた。パパロ氏はまた、中国とロシア、北朝鮮の協力関係の深化が太平洋における脅威を増大させていると述べていた。