EU、対ロ制裁を強化 「ロシアが理解できる言語は力だけ」
(CNN) 欧州連合(EU)は10日、ロシアに対する新たな制裁措置を発表した。ロシアによるウクライナへの連日の攻撃で死者が出ていると言及し、最近の外交努力にもかかわらず、ロシアには平和への関心がないことが分かると指摘した。
制裁はロシアが2022年にウクライナへ一方的な全面侵攻を開始して以来、18回目となる。ロシア政府が石油・ガス生産から利益を得る能力をさらに弱めることが狙いだ。
この提案には、ロシア産原油輸出価格の上限を1バレル当たり60ドル(約8700円)から45ドルに引き下げることが含まれる。またロシアによる既存の制裁回避を支援する第三国においては、ロシアの銀行および金融機関が行う取引を全面的に禁止するとしている。
EUは、ロシアのエネルギーインフラの使用禁止も提案しており、ロシアから欧州へ天然ガスを送るためのパイプライン「ノルドストリーム」に関わるあらゆる取引にEUの事業者が直接的、間接的に関与することを禁じていると述べた。
この新たな制裁措置は、EU加盟27カ国の承認が必要となる。ハンガリーやスロバキアといった親ロシア派の政権が、ロシアに対する追加制裁について懸念を表明したことを考えると、承認は複雑になる可能性がある。
両国はこれまで新たな制裁措置を阻止すると警告してきたものの、今のところ最終的には賛成票を投じている。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は、制裁が必要な理由として「力こそ、ロシアが理解できる唯一の言語だから」と述べた。
ドイツ、フランス、英国、ポーランドの首脳は先月、ロシアのプーチン大統領に対し、30日間の停戦に同意するか、そうでなければ「大規模な」制裁を受ける可能性があると通告した。プーチン氏はこの最後通牒(つうちょう)を無視し、代わりにロシアとウクライナの間での「直接交渉」を提案した。
しかし、トルコ・イスタンブールで行われた2回の協議では、ロシアが実質的にウクライナの降伏に相当する最大限の要求を堅持していることが明らかになっていた。