涙ながらにペットを手放す飼い主、全米で急増 景気悪化の痛ましい兆候
(CNN) ペットを手放す飼い主が増えると景気が悪化する――。米ノースカロライナ州の動物保護施設に勤務する職員は長年の経験から、そんな痛ましい兆候があることを学んだ。
2000年代後半の金融危機や、地元で大量解雇があった時、直近ではインフレが急上昇した時にもそれが起きた。
そして今回再び、ペットを手放す飼い主が増えている。
同施設が飼い主からペットを引き取った件数は、前年より約43%増えているという。
「景気が悪化したり大量解雇があったりすると、必ずペットを手放す飼い主が増える」と同施設のメリッサ・ナイスリーさんは言う。
この地域に限った現象ではない。
ここ数カ月は全米の動物保護施設でペット引き取りの件数が急増している。CNNの取材に対して複数の施設が、飼い主がペットを手放す根本原因は生活苦にあると指摘した。
この数年の間に病院通いから餌代に至るまであらゆる面で飼い主の負担は重くなり、関税の影響を受ける製品は今後さらに値上がりが予想される。そうした出費の増大に加えて、借金や(人間やペットの)予想外の治療費用、失業などによって家計が悪化することもある
特に多いのは、飼い主がそれまで住んでいた家に住み続けられなくなることだという。
「もっと手頃な場所に転居せざるを得なくなり、そこでは動物が飼えないので手放すしかなくなった。涙を流す飼い主を見ているのはあまりにつらい」。ミネソタ州プリンストンの保護団体で引き取りを担当するミーガン・ラーソンさんはそう語る。「そんな決断をしなければならないことに、飼い主は打ちのめされている。手放すことは望んでいない」
ラーソンさんの団体が7月24日までに受け付けたペット引き取りの申し込みは1496件に上り、1日で22件に上った日もあった。複数のペットを手放す飼い主も多いという。前年同期の申し込み件数は1292件だった。
同団体はミネソタ州で比較的規模の大きい一時預かりのネットワークを運営しているが、保護を必要とするペットの多さに対応できない状況にある。
「地元の保護団体に連絡しても、大型犬の預かり主が不足して、みんなある種のパニック状態にある」とラーソンさん。大型犬は食べる量が多く、医療費も高額で、飼育が認められていない物件も多い。「そのために多くの飼い主が、大型犬を手放さなければならない状況に追い込まれている」