やり直しのルーマニア大統領選 親EU派が勝利、極右候補を破る
(CNN) 東欧のルーマニアで18日、やり直しになった大統領選の決選投票が行われ、親欧州連合(EU)派で首都ブカレストの市長を務めるニクショル・ダン氏が、極右候補のジョージ・シミオン氏に勝利した。
開票率は100%に達し、ダン氏が54%近くの票を獲得して勝利を確実にした。
シミオン氏はトランプ米大統領に対する支持を表明しているほか、ウクライナへの軍事支援に反対し、EUについては批判的な立場を取る。今月4日に行われた第1回の投票で1位となり、決選投票でも勝利するとみられていた。だが、ダン氏はテレビ中継された討論会でシミオン氏を打ち負かし、支持を伸ばした。
ロイター通信によれば、ダン氏は18日、喜びに沸く支持者に向けて演説し、今回の投票について、「ルーマニア社会の信じられない力」を証明したと語った。「今日の選挙では、ルーマニアに根本的な変化を求めるルーマニア人のコミュニティーが勝利した」
ダン氏は、困難な時期が待ち受けているが、国の経済のバランスを取り、健全な社会基盤の構築には必要なことだとして、支持者に「忍耐」を求めた。
シミオン氏は18日夜に投稿した動画で敗北を認める一方、「世界中の主権主義的な愛国者や保守派」と共に戦い続けるとも明言した。
今回のルーマニアの大統領選をめぐっては、泡沫(ほうまつ)候補とみられていた極右のカリン・ジョルジェスク氏が急速に人気を集めるなか、ロシアによる選挙戦への干渉が疑われるなどして選挙結果が約5カ月前に無効になっていた。
ジョルジェスク氏はその後、ファシスト団体の設立などさまざまな容疑で訴追され、大統領選への再出馬を禁じられた。
1000万人を超える人たちが投票した今回の大統領選をめぐっては、東と西の選択であり、欧州における「トランプ流」のナショナリズムの台頭を測るリトマス試験紙だと考えられていた。
ダン氏はルーマニアの北大西洋条約機構(NATO)加盟を強く支持しているほか、ウクライナへの支援継続も明言。汚職の取り締まりにも注力するとしている。