欧州市場で問題を抱えるテスラ、販売台数が半減
ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)の全般的な電気自動車(EV)市場が拡大する中でも、米EV大手テスラの販売台数は先月、EU全域で半分以上減少した。
欧州自動車工業会(ACEA)が27日に発表したデータによると、EU全域でのテスラ車の新規登録台数は4月、前年同月比で53%近く減少。英国やノルウェー、スイスを含む広義の欧州地域でも同月、前年比49%の落ち込みを記録した。
欧州でテスラの販売台数が減少するのは4カ月連続。テスラは現在、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治姿勢を巡る消費者の反発と、中国のEVメーカーとの競争の激化という二つの大きな課題に直面している。
米国内と同様、マスク氏の最近の言動は欧州の人からも反発や抗議を招いている。マスク氏はドイツや英国の一部極右候補への支持を表明。米国では第2次トランプ政権で中心的な役割を果たし、数千人規模に上る連邦職員のレイオフ(一時解雇)を主導した。
調査会社JATOダイナミクスのデータによると、4月には中国の競合EVメーカー、BYDが欧州で初めてテスラの販売台数を上回った。バッテリーEV(BEV)の販売台数の差はわずか66台だったが、「その意味合いは大きい」と、JATOのグローバルアナリストを務めるフェリペ・ムニョス氏は先週の声明で述べている。
「テスラが長年欧州のBEV市場をリードしてきた一方、BYDは2022年後半になってノルウェーとオランダ以外で正式に事業を開始したばかりだ。特にこの点を考慮すると、これは欧州の自動車市場にとって転機といえる」(ムニョス氏)

販売店で中国BYDの車をチェックする購入希望者=5月/Sean Gallup/Getty Images
テスラの不振はEUのEV市場全体が拡大する中で起きた。ACEAによると、BEVの新車販売は今年最初の4カ月間で26%あまり増加したとされる。なお、テスラが販売しているのはBEVのみで、BYDを含む多くの競合他社はバッテリー式とハイブリッドEVを併売している。
テスラは昨年、年間の世界販売台数で初めて減少を報告し、1~3月期には四半期ベースで過去最大となる世界販売台数の落ち込みを記録した。この結果、1~3月期の純利益は71%減少した。