イスラエル軍、ガザ南部でタイ人人質の遺体収容 最後のタイ人
(CNN) 2023年10月7日の襲撃で生きたまま拉致されたタイ人の人質ナッタポン・ピンタさん(35)の遺体が6日、パレスチナ自治区ガザ地区南部での軍事作戦中に収容されたことが分かった。イスラエル軍とイスラエル総保安庁(シンベト)が声明で明らかにした。
イスラエルは数日前、米国系イスラエル人の人質2人の遺体をガザ地区から収容していた。
軍当局者によれば、ピンタさんはイスラエル南部のニルオズ・キブツ(農業共同体)で農作業中に拉致された。拘束後数カ月のうちに死亡したと見られるという。ピンタさんは既婚の父親で、タイの家族を支えるためイスラエルで働いていた。
イスラエルのカッツ国防相は声明で、「生死を問わず全ての人質が帰還するまで、我々が休むことはない」と述べた。
イスラエルのヘルツォグ大統領は7日夜、SNSに声明を発表し、「イスラエル国家はナッタポンさんの遺族とタイ国民の深い悲しみを共有している」と表明した。
イスラエル国防軍(IDF)によると、ピンタさんを拉致したのは「ムジャヒディン」という武装組織で、イスラム組織ハマス主導の10月7日のテロ攻撃に参加していた。
タイ外務省は7日、ピンタさんの訃報(ふほう)を受け「深い悲しみを覚えている」と表明。外務省の報道官はビデオ声明で、「在テルアビブのタイ大使館はイスラエル政府の代表者から、タイ人の人質で最後となるナッタポン・ピンタ氏の死亡が確認されたとの通知を受けた」と明らかにした。

妻と息子と一緒に写真に収まるピンタさん/Hostage's Family Forum/AP
ガザ地区ではイスラエル軍による激しい軍事作戦が行われている。民間防衛当局によると、6日にはイスラエルの攻撃で少なくとも38人が死亡したという。
ガザには14年に拉致された1人を含め、計55人の人質が残る。生存者は20人とみられている。
ハマスの戦闘員によって10月7日の拘束された251人のうち、多くはアジアの貧しい農村部から出稼ぎに来ていた移民労働者だった。移民らは母国に送金するため、イスラエルの農業や建設、医療といった分野で働いていた。