非難の的の「人道」団体、ガザ食料配給を24時間中断 3日連続の銃撃で死者続出
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区で米国とイスラエルが主導する「ガザ人道財団(GHF)」が行っていた食料の配給が4日、24時間にわたって中断された。配給所へ向かう住民は3日連続で銃撃され、数十人が死亡していた。
GHFによると、配給所に詰めかける大勢の住民への対応を改善し、イスラエル軍が配給所へのアクセスルートを準備できるよう、4日は配給を中止。5日から再開する見通しだとしている。
ガザ地区への援助物資搬入は過去11週間にわたって封鎖され、この数週間で届いた食料などの物資はごくわずかにすぎない。イスラエル軍はガザ住民に対し、GHFの配給所に近づかないよう警告。3日のXへの投稿で「明日は配給所に通じる道路を戦闘区域とみなし、移動を厳禁とする」と通告した。
ガザへの支援物資搬入を管理するイスラエルの占領地政府活動調整官組織(COGAT)によると、3日には食料や小麦粉を積んだトラック157台がガザに入り、GHFと国連機関の両方に人道支援物資を提供した。しかし国連によると、今回の戦争前にガザに入っていたトラック500~600台分と比べれば、ほんのわずかな量にすぎない。
GHFの配給は2日から始まり、パレスチナ当局によると、ここ数日で数十人の住民がイスラエルに銃撃されて死亡している。パレスチナ保健当局によれば、3日には30人近くが死亡し、数十人が負傷した。イスラエル軍は「指定されたアクセスルートを外れて自分たちの方へ向かって来る容疑者数人」を確認し、銃撃を繰り返したと説明した。
その前日には、配給所へ向かっていた住民3人が射殺され、数十人が負傷した。イスラエル軍は、GHFの配給所から1キロほど離れた場所で警告射撃を行ったとしている。
1日にはパレスチナ保健省や病院関係者、複数の目撃者らが、イスラエル軍の銃撃で31人が死亡したと証言。イスラエル軍は当時、配給所内や周辺で民間人に対する発砲は行っていないと述べていたが、イスラエル軍関係者は、配給所から1キロほど離れた場所で、配給が始まる前に銃撃があったことを認めた。
主な支援団体や国連機関は、GHFが人道原則に従っていないなどとして協力を拒んでいる。配給所がガザ南部に限られていることについても、イスラエル軍の狙いは北部からの住民排除にあるとの懸念が強まっている。
国連のトム・フレッチャー事務次長(人道問題担当)は今月、国連安全保障理事会でGHFについて「援助を政治的・軍事的目的のための条件とし、飢えを交渉材料にしている」と強く批判した。
GHFは3日、「引き続き必要とする人々に食料を届けることのみに集中する。現時点で我々は、一貫性と安全性を保ちながらそれを大規模に実施している唯一の組織だ」と強調した。