国連安保理、ガザの即時停戦求める決議案 米が拒否権
(CNN) 国連安全保障理事会は4日、パレスチナ自治区ガザ地区での即時かつ無条件での停戦などを求める決議案の採決を行ったが、米国が拒否権を発動したため否決された。米国以外の14カ国は賛成した。
米国のシェイ国連臨時代理大使は、決議案がイスラム組織ハマスに対して武装解除とガザからの撤退を求めていないため反対すると述べた。
シェイ氏は採決に先立ち、決議案について、記載された内容でも記載されていない内容でも、さらには提出手続きでも受け入れられないと述べ、ハマスに武装解除とガザからの撤退を求めていない点を批判した。
シェア氏は、イスラエルには自衛権があり、ハマスを打倒して再び脅威を与えられないようにする権利があるなどと強調した。
米国がガザ情勢に関する安保理決議案に拒否権を行使するのは今回が初めてではない。2024年11月にも、人質解放につながらないとの理由で同様の決議案に拒否権を発動していた。
英国は、今回の決議案が合意に達しなかったことについて「遺憾」に思うと述べた。
英国のウッドワード国連大使は、ガザの耐え難い状況を踏まえ、英国は停戦を支持すると述べた。「我々は、この戦争を終結させ、ハマスに拘束されている人質を解放し、パレスチナ人の壊滅的な人道状況の緩和することを決意している」
ウッドワード氏はイスラエルによるガザでの軍事作戦の拡大と援助物資の厳格な制限を「正当化できず、不釣り合いで、逆効果だ」と批判した。
イスラエルは5月、ハマスの壊滅と人質救出を目的にガザで大規模攻勢を開始。国連や援助団体は、民間人が甚大な被害を受けていると警鐘を鳴らしている。
イスラエルのサール外相は、トランプ米大統領と米政権が「イスラエルと肩を並べ、一方的な決議に拒否権を行使した」と謝意を示した。今回の決議案はハマスを利するだけで、人質交渉の米国の努力を損なうとした。
否決された決議案は、すべての当事者による即時かつ無条件、恒久の停戦と、ガザへの人道支援物資の搬入制限の即時解除、ハマスなどが拘束する全人質の即時かつ無条件の解放などを求めていた。