イランとの核協議再開に向けた秘密外交の詳細
(CNN) トランプ政権は、イランが民生用エネルギー生産核プログラムを構築するために最大300億ドル(約4兆3000億円)の資金利用を支援する可能性や、制裁緩和のほか、イラン国外にあり利用が制限された数十億ドル規模の資金を解放することなどを検討してきた。これらはすべて、イランを交渉の場に戻す取り組みの一環だ。事情に詳しい4人の情報筋が明らかにした。
過去2週間にわたりイランとイスラエルで軍事攻撃の応酬が続いていた中、米国と中東の主要関係者は水面下でイラン側と協議を行ってきた。停戦の合意がなされた今週も、協議は続いているという。
トランプ政権当局者は、複数の提案が浮上していると強調した。こうした提案は準備段階にあり、イランによるウラン濃縮をゼロにするという、一貫して交渉の余地のない条件のもと進展しつつある。イランはウラン濃縮について必要性をつねに主張してきた。しかし、2人の情報筋がCNNに語ったところによると、少なくとも一つの草案には、イランに対する複数の優遇措置が含まれている。
米軍によるイラン攻撃の前日にあたる20日、ウィトコフ中東担当特使と湾岸諸国はホワイトハウスで数時間にわたり秘密裏に協議を行い、詳細を詰めたという。会談に詳しい2人の情報筋がCNNに語った。
協議された条件の中には、民生用エネルギー用途の新たな非濃縮核開発計画に対する推定200億~300億ドルの投資が含まれている。この内容はこれまで報じられていなかった。ある当局者は、資金は米国から直接供与されることはないと強調。アラブ諸国による負担を望んでいると述べた。イランの核エネルギー施設への投資は、ここ数カ月間で行われた核問題の協議でも議論されてきた。
トランプ政権当局者はCNNに対し、「米国はイランとの協議を主導する用意がある」とした一方で、「核開発プログラムの構築には誰かが資金を提供する必要があるが、米国はそのような約束はしない」と述べた。
CNNが説明を受けた草案によると、その他の優遇措置には、イランに対する制裁の一部解除や、イラン国外の銀行口座にあり、自由な利用が制限されている60億ドルへのアクセスを許可することなどが含まれる。
先週浮上し現在検討されているもう一つの案は、米国が支援する湾岸諸国がフォルドゥ核施設を非濃縮プログラムに置き換える費用を負担するというものだ。フォルドゥ核施設は米国が週末に地中貫通弾バンカーバスターで攻撃した。イランがこの施設自体を使用できるかどうか、この提案がどれほど真剣に検討されているのかは現時点では不明。
ウィトコフ氏は25日、CNBCに対し、米国は「包括的和平合意」を目指していると述べ、トランプ政権当局者は、すべての提案はイランの核兵器取得の阻止を目的としていると強調した。
米国は、イランが平和的な民生目的の核開発計画を持っている可能性はあるものの、その計画のためにウランを濃縮することはできないとし、代わりにイランが濃縮ウランを輸入する可能性を示唆している。
「これからのイランとの課題と対話は、イランにとってより優れた、非濃縮の民生用核開発プログラムをいかにして再構築するかということになる」と、ウィトコフ氏はCNBCに語った。
米政権がイランに条件を提示する機会は訪れるかもしれない。トランプ大統領は25日、米国とイランが来週協議を行う予定だと述べた。ただし、イラン外務省の報道官は、来週の協議について承知していないとしている。
協議に詳しい関係者はCNNに対し、日程はまだ決まっていないと語った。
ウィトコフ氏が水面下で熱心に外交を主導したにもかかわらず、トランプ氏は今週、核開発をめぐる合意は「必要ない」と公の場で発言した。
停戦合意が成立したことを受け、トランプ氏は新たな合意を詰めることに公には無関心に見える。一方で多くの側近は、より長期的な合意を追求することで停戦の永続性を確保できると考えている。