トランプ氏、NATO首脳会議で虚偽の主張 ウクライナ戦争やインフレめぐる発言を検証
(CNN) トランプ米大統領は25日、オランダで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の記者会見で、ウクライナ戦争、米国のインフレ、そして過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS」との過去の戦闘について虚偽の主張を行った。
トランプ氏はまた、米国が週末に行ったイラン核施設への軍事攻撃によって、核施設が「壊滅」したという、根拠のない主張を繰り返した。CNNが24日に報じた通り、米国の情報機関による初期評価は、核開発プログラムの中枢部分は完全には破壊されておらず、今回の攻撃はイランの核開発計画を数カ月後退させた程度である可能性が高いとしている(米国は攻撃の影響に関する情報収集を継続しており、今後異なる結論が出る可能性もある)。
トランプ氏が行った25日の発言の一部について、ファクトチェックを行った。
ロシアのウクライナ戦争
記者は、トランプ氏が以前、「24時間」以内にロシアのウクライナでの戦争を終結させると約束したものの、後にそれは皮肉を込めて言ったものだと発言したことを指摘した。トランプ氏は「もちろん皮肉だった」と答えたが、そうではなかった。
トランプ氏が4月に約束は「冗談」だったと主張した際、CNNはこの主張を検証。同氏が選挙活動中に完全に真剣な口調と態度、文脈で、大統領就任後24時間以内、あるいは次期大統領としてそれよりも早く戦争を終結させると約束した例を53件発見した。
インフレ
トランプ氏は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がただちに金利を引き下げないことを改めて批判し、「インフレは起きていない」と改めて主張した。
これは事実ではない。米国の5月のインフレ率は前年比2.4%で、4月の2.3%から上昇した。4月のインフレ率は2021年初頭以来の低水準であり、一部のエコノミストが新たな大規模関税を受け予想していた水準よりも低かったが、これは「インフレが発生していない」状態では全くない。
ISISとの戦い
トランプ氏は、1期目に「数週間でISISを倒した」とのこれまでの主張を繰り返した。さらに、「打倒には4~5年かかると言われていたが、数週間で実現した」と付け加えた。
しかし実際には、ISISの支配下にあった領土は、トランプ氏の1期目就任から2年以上が経過した2019年に完全解放が宣言された。「数週間」ではない。