米連邦裁、トランプ関税の大半を差し止め 政権は即日控訴
ニューヨーク(CNN) 米連邦裁判所は28日、トランプ大統領が自身の権限を逸脱して包括的な関税を課したとの判断を示した。一連の関税は大企業から一般の米国民まで、あらゆる人にとって輸入コストを高騰させる結果を招いていた。
ただ、政権側は夜に直ちに控訴しており、消費者と企業にとって状況は不透明なままだ。トランプ氏の輸入関税が維持されるかどうかを巡る争いは長期化する可能性があり、場合によっては世界経済のあり方を変化させる可能性もある。
マンハッタンにある米国際貿易裁判所の判事3人は今回、4月2日に発表された「解放の日」の関税を含め、トランプ氏が緊急経済権限に基づき課した世界中への関税を差し止めた。これ以前に中国、メキシコ、カナダに対して課した、合成麻薬フェンタニルの流入対策を目的とする関税の執行も差し止められる。
裁判所は恒久的差し止めを支持する判断を示しており、大半の貿易相手国との「合意」が成立する前に、トランプ氏の世界中への関税が停止に追い込まれる可能性が出てきた。
裁判所は、「恒久的差し止めを実施するための」行政命令を10日以内に出すよう命令。これは控訴審や最高裁で今回の判断が支持されれば、トランプ氏の関税の大部分が凍結されることを意味する。
今回の命令により、中国に対する30%の関税、メキシコとカナダからの一部輸入品に対する25%の関税、米国への輸入品の大半に対する一律10%の関税は停止される。ただし、通商拡大法第232条が適用される自動車、自動車部品、鉄鋼、アルミニウムへの25%関税は影響を受けない。
裁判所の判断を受け、株式先物は急騰した。ダウ先物は500ポイント(1.1%)近く上げ、より幅広い銘柄を含むS&P500先物は1.4%、ナスダック先物も1.6%上昇した。
今回の訴訟は、リバタリアニズムを掲げる法的擁護団体「リバティー・ジャスティス・センター」が4月に提起したもので、関税によって深刻な損害を被ったと主張するワイン販売業者VOSセレクションズなどを代理していた。判事らは全員一致の判断を示し、VOSの訴訟およびトランプ政権の関税に反対する12の民主党州が提起した訴訟に関する意見を公表した。