EUとメキシコに30%の関税、トランプ米大統領が発表
(CNN) トランプ米大統領は12日、メキシコと欧州連合(EU)からの輸入品に30%の関税を課すと発表した。メキシコとEUはいずれも米国にとっての主要な貿易相手であり、今年1月の再就任以降続くトランプ氏の関税攻勢は世界の貿易秩序を揺さぶっている。
トランプ氏は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長宛ての書簡をSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「米国はEUとの貿易赤字が過去最大規模であるにもかかわらず、EUとの協力を継続することに同意した。だが、より均衡の取れた公正な貿易によってのみ前進することを決意した」と述べた。
トランプ氏は今年に入り、貿易相手国に対して一連の関税を導入し、その後は関税の停止や、税率の引き上げや引き下げを繰り返している。経済の不確実性が高まるなか、国から個人にいたるまで将来の計画を立てるのに苦労している。
EUとメキシコは、トランプ氏が7日から相次いで公表している「関税書簡」により、8月1日から新たな30%の関税が課される国・地域のリストに加わった。自動車に対する25%の「分野別関税」を除き、それ以外の品目は30%の対象となるという。
フォンデアライエン委員長は声明で「8月1日までに合意を目指す用意はある」としつつ、30%の関税は大西洋両岸のサプライチェーン(供給網)や企業、消費者に打撃を与えることになるとし、EUの利益を守るために必要であれば相応の対抗措置を取ると述べた。
フランスのマクロン大統領もX(旧ツイッター)で、欧州委員会が欧州の利益を断固として守らなければならない点に同意し、対抗策の準備を急ぐよう呼びかけた。
一方、メキシコからの輸入品は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の条件を満たせばほぼ無関税で米国に流入してきた。トランプ氏はメキシコのシェインバウム大統領宛ての書簡で、関税障壁は合成麻薬フェンタニルの流入阻止のために導入されたとし、「メキシコは国境警備で協力しているが、十分ではない」と主張した。
メキシコのエブラルド経済相は11日、ワシントンでの協議で米側に対し、30%の関税は不当で同意できないと伝えたとXで明かした。ただし、双方は両国の企業と雇用を守るための代替策を交渉中だという。