「息子は殺された」 留置場で抑制された男性死亡、遺族が看守の立件求める 米オハイオ州

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死亡したクリスティアン・ブラックさん(25)/Courtesy Wright & Schulte

死亡したクリスティアン・ブラックさん(25)/Courtesy Wright & Schulte

(CNN) 米オハイオ州で逮捕され、留置場で看守らに押さえつけられて死亡した男性について、関与した看守らを殺人罪で立件するよう遺族が求めている。

死亡したクリスティアン・ブラックさん(25)は3月24日、車の窃盗にかかわったとして逮捕され、同州モンゴメリー郡刑務所に留置された。家族側の弁護士が入手した留置場内の映像によると、ブラックさんは数時間後、監房内で興奮状態に陥っていた。

看守ら少なくとも10人は、監房の前で準備を整えてから中に入り、ブラックさんを取り押さえようとした。

ブラックさんは興奮して走り回り、入ってきた看守らに体当たりした。看守がスタンガンを抜いてもブラックさんは抵抗を続け、「俺を撃て」と叫んでいた。

家族によると、ブラックさんに精神疾患はなく、処方薬も服用していなかった。

弁護士は「看守らが共謀して彼をあんな精神状態に追い込んだと考えている」とCNNに話している。

モンゴメリー郡保安官事務所のフェイスブックによると、最終的に看守らがブラックさんを取り押さえ、「自分を傷つけたり、暴れたり暴力を振るったりして受刑者や職員に危害を加える可能性のある」受刑者らの抑制に使われる椅子にブラックさんを座らせた。

映像にはおよそ5分たったところで、両手を後ろに回された状態で椅子に縛り付けられたブラックさんを、看守らが前のめりの姿勢にさせる様子が映っている。

看守の1人が「疲れるまでそのままにさせておけ」と声をかけ、ブラックさんは「助けて」と訴えていた。

CNNの取材に応じた母親のミスティ・ブラックさんは、「息子は明らかに息を詰まらせていた」と話す。

モンゴメリー郡保安官事務所によると、7分たったところでブラックさんは椅子の上でのけぞり、意識を失った様子だった。看守の1人はマスクで抑制されたブラックさんの顔を強く抑え続けていた。

ブラックさんに聴診器を当てた看護師は、「心拍がない」と言ってブラックさんを椅子から下ろすよう求めた。

数分後、ブラックさんを押さえつけていた看守らが蘇生を試みた。その後救急車で病院に搬送されたブラックさんは、2日後に死亡した。

検視局の暫定報告によると、ブラックさんの死因は「機械的な、体位性の窒息」による殺人と判断された。

母親のミスティさんは「彼らが息子を殺害した。あんな姿勢にさせて死なせた。あれは殺人だった」と訴える。

一方、警官組合は「看守らはブラックさんが負傷したり自殺したりするのを防ぐため、ブラックさんを抑制しなければならなかった。訓練に従って腰を曲げた前かがみの姿勢にさせ、動きを抑制した」と主張。「この間もブラックさんは叫び続け、抵抗し続けた。ブラックさんを落ち着かせて疲れさせるため、警官とブラックさんはそのままの姿勢を続けた」と述べ、「本件にかかわった組合員全員が公正かつ人道的に職務を遂行した」と強調している。

保安官事務所によると、事件に関与した10人は捜査が行われる間、有給休暇扱いになっている。

保安官は引き続き独立的な捜査に全面的に協力すると述べ、犯罪捜査が完了した時点で徹底した内部調査を行うと表明した。捜査はデイトン警察の殺人課が担当する。

遺族は保安官の辞任を求め、民事訴訟を起こすことも検討している。

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