トランプ氏、ハーバード大の免税資格剥奪に再言及 学長は「違法」と反論
(CNN) トランプ米大統領は2日、ハーバード大学の免税資格を剥奪(はくだつ)すると言及した。ハーバードの学長が強く反発している異例の脅しに再度踏み込んだ形だ。
トランプ氏は2日午前、SNSのトゥルース・ソーシャルに「ハーバードの免税資格を剥奪する。当然の報いだ!」と投稿した。
これに対し、ハーバード大のガーバー学長は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)との2日のインタビューで、剥奪措置は「極めて違法」であり、大学に「破壊的」な影響を与えると反論した。
トランプ氏がハーバード大の免税資格を剥奪する案を示唆したのは先月15日。米国の名門大や学術界全体で言論の自由、政治イデオロギー、連邦資金をめぐる綱引きが行われる中、内国歳入庁(IRS)は免税資格剥奪を実行する案を練っていた。
ガーバー氏はWSJに対し、「この思い切った措置を正当化する理由が何か無い限り極めて違法であり、我々にはその理由が示されていない」と説明。ハーバードの教育と研究は「大きく損なわれる」見込みだと言い添えた。
また「この一件が教育界へ送るメッセージは極めて深刻だ。政治的な意見の相違が根拠として利用され、多くの教育機関の存亡にかかわる脅しが突きつけられる可能性が示唆されているからだ」とも述べた。
米国法では、大統領がIRSに調査を指示することを明確に禁じている。もし免税資格を剥奪すべきとの調査結果が出た場合、IRSは正式通知を行い、大学側に異議申し立ての機会を与える必要がある。CNNはトランプ氏の発表を実施する方法について問い合わせたものの、現時点でIRSから回答は得られていない。
民主党のエドワード・マーキー上院議員(マサチューセッツ州選出)は2日、トランプ氏の行動はハーバードを自身のイデオロギーに無理やり従わせるようとする試みであり、違憲だと批判。トランプ氏の脅しによる混乱で、人々の命を救う研究や国民の生計に悪影響が出ていると指摘した。
高等教育機関の免税資格を剥奪するケースは極めてまれ。IRSは1970年、ボブ・ジョーンズ大学に対して剥奪措置を取ったが、これは同大が異なる人種間の交際を認めなかったためであり、最高裁も後年この決定を支持した。
ボブ・ジョーンズ大学は異人種間の交際に関する方針を2000年に撤回し、17年には免税資格が復活した。