米保健福祉省、mRNAワクチン開発の資金を削減

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メキシコで11歳以下の子ども向けに新型コロナワクチン接種の準備をする医療従事者/Gerardo Vieyra/NurPhoto/AP

メキシコで11歳以下の子ども向けに新型コロナワクチン接種の準備をする医療従事者/Gerardo Vieyra/NurPhoto/AP

(CNN) 米保健福祉省(HHS)は5日、mRNA技術を使ったワクチンを「段階的に縮小」していることを明らかにした。今後は生物医学先端研究開発局(BARDA)を通じ、別のワクチンプラットフォームへ資金を拠出する方針だという。

HHSのロバート・ケネディ・ジュニア長官は声明で、BARDAが22件のmRNAワクチン開発向け投資を打ち切る予定だと発表。当該のワクチンは「新型コロナウイルス感染症やインフルエンザのような上気道感染症を効果的に防げていない」との見方を示唆した。実際にはこれらのワクチンが新型コロナウイルス感染症の重症化や死亡を防ぐ証拠は存在しており、インフルエンザに対しても有望な結果が示されている。

HHSによれば一部の最終段階の契約は継続するものの、「mRNAを基盤とする新規の計画は今後一切立ち上げない」という。

「我々は科学的検証を行い、専門家の話を聞き、その上で行動した」(ケネディ氏)

将来的にBARDAが注力するのは、より強力な安全記録と臨床及び製造面での透明性あるデータ慣行を備えたプラットフォームになると、HHSは述べた。緊急事態にあって資金を拠出したものの現行の科学的水準を満たすに至らなかった技術については段階的にこれを縮小し、証拠に基づいた、倫理的根拠も明確な解決策を優先するとした。

mRNAは1本鎖の遺伝暗号で、細胞はこれを「読み取り」、たんぱく質を合成する。新型コロナワクチンの場合、mRNAは体内の細胞に新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質の特定部分を作るよう指示。免疫システムがこれを異物と認識することで、実際に感染した際に攻撃する準備が整う仕組みだ。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時には、これらのワクチンが特に役立った。開発と製造を迅速に行えたことがその理由だ。多くの査読済み論文によれば、mRNAワクチンはトランプ政権1期目の取り組みで開発され、重症化予防に高い効果を発揮した。安全性が極めて高いことも繰り返し示されたという。

トランプ政権とケネディ氏は、かねてmRNAの複数のプロジェクトを検証すると述べていた。ケネディ氏は長年にわたってワクチンに否定的な主張を展開してきたことで知られる。今年5月、HHSは鳥インフルエンザ(H5N1型)予防ワクチン開発に関して米医薬品メーカーのモデルナと結んでいた契約の打ち切りを発表していた。

テキサス小児病院のワクチン開発センターを統括する小児科医のピーター・ホテズ博士は、5日のHHSの声明について「彼らの疑似科学的政策を推進し、我が国のバイオセキュリティーを弱体化させるものになる」と指摘。あらゆるバイオ技術同様、mRNA技術には長所と短所があるとしつつ、ケネディ氏の率いるHHSが伝えているのは、今後連邦政府に生物医学における技術革新は期待できないということだと述べた。

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