日本への原爆投下から80年、世界の大国が今なお核の脅威振りかざすなか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
広島の原爆ドームの前を歩いていく観光客。日本は6日に第2次世界大戦の原爆投下から80年を迎えた=4日/Louise Delmotte/AP

広島の原爆ドームの前を歩いていく観光客。日本は6日に第2次世界大戦の原爆投下から80年を迎えた=4日/Louise Delmotte/AP

(CNN) 第2次世界大戦末期、広島で核兵器が初めて使用されてから80年を迎える中、専門家や被爆者らは、核兵器が再び使用される日がこの数十年で最も近づいていると警告している。

広島平和記念公園では6日午前、1945年8月6日に米軍のB29爆撃機が原子爆弾「リトルボーイ」を投下した瞬間を追悼した。3日後には長崎が2発目の米軍原子爆弾によって破壊された。式典に参加する被爆者の数は年々減少している。

これらの攻撃で11万人あまりが即死し、数十万人が負傷や長年にわたる放射能関連の疾病で亡くなった。

核兵器が戦争で使用されたのは、今日に至るまでこの2度だけだ。しかし、核兵器は今なお、大きな脅威を示し続けている。

核廃絶に向けた取り組みで昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、式典に先立ち声明を発表。残された時間は少なくなった一方で、かつてないほど核の危機に直面しているとし、今、最優先の課題は、私たちにそっぽを向いている核兵器保有国を1ミリでも動かすことだと訴えた。

最近の緊張は、ウクライナ侵攻をめぐりロシアと米国の間で先週繰り広げられた核兵器の威嚇に反映されている。ここ数カ月では、米国がイランの核開発計画を阻止するため、強力な通常兵器でイランの核施設を攻撃した。

核保有国であるインドとパキスタンは今年、長年にわたる係争地であるカシミールをめぐって短期間衝突し、世界の指導者らは両国の緊張激化を回避するため奔走した。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)大量破壊兵器プログラムの准上級研究員、ハンス・クリステンセン氏は6月、「核兵器の増強、核に関する言論の激化、軍縮協定の放棄という明確な傾向が見られる」と指摘した。

こうした憂慮すべき動向は、1947年に設定された「終末時計」の残り時間を今年初めに過去最短の89秒へと縮める大きな要因となった。

「核兵器保有国は、兵器の規模と役割を拡大し、文明を破壊し得る兵器に数千億ドルを投資している」と、終末時計の報告書は述べている。

世界の核兵器備蓄量

広島型原爆の出力は15キロトンで、今日の基準では低出力核兵器とみなされる。米国が保有する最大の核兵器は1.2メガトンで、広島型の80倍に相当する。

専門家は、最新の核兵器1発が大都市の上空で爆発すれば、数百万人が即死する可能性があると警告する。

SIPRIによると、米国、ロシア、中国、フランス、英国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9カ国が保有する核兵器は合計で1万2000発あまりに上る。

SIPRIの最新の年次報告書によれば、これらの国々のほぼすべてが「2024年も集中的な核近代化計画を継続し、既存の兵器のアップグレードと新型の追加を行う」。

米国とロシアは合わせて世界の核兵器の約90%を保有しているが、それ以外の核保有国も核兵器を増強しているか、増強を計画している。

中国は年間およそ100発の核弾頭を追加しており、SIPRIはこの傾向が今後も続くとみている。

インドは核弾頭を増やしていると考えられており、英国も間もなく増強に入る見込みだという。

一方、北朝鮮に核保有国としての立場を撤回する兆しはみられない。金正恩(キムジョンウン)総書記の妹の金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党副部長は先月、米韓との協議と引き換えに核兵器を放棄するつもりはないと述べた。

メールマガジン登録
見過ごしていた世界の動き一目でわかる

世界20億を超える人々にニュースを提供する米CNN。「CNN.co.jpメールマガジン」は、世界各地のCNN記者から届く記事を、日本語で毎日皆様にお届けします*。世界の最新情勢やトレンドを把握しておきたい人に有益なツールです。

*平日のみ、年末年始など一部期間除く。

「米国」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]