米国で多発するアジア系住民襲撃 識者の見解は

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オークランドの中華街で犯罪抑止の告知を貼る地域活動グループのメンバー/Paul Kuroda/ZUMA Press

オークランドの中華街で犯罪抑止の告知を貼る地域活動グループのメンバー/Paul Kuroda/ZUMA Press

解決策で意見が分かれる

アジア系米国人に対する憎悪や暴力の問題に関して、彼らの支援者や活動家たちは、より多くの議論や注目を求めていくことでおおむね一致しているが、問題解決の最善策については意見が分かれているようだ。

グエン氏は、現在の主な争点は、アジア系米国人の活動単独でアジア人に対する人種差別の問題解決を図るべきか、あるいは、アジア人に対する人種差別はより大きな人種差別の波の一部なのかという問題だ、と指摘。後者であるなら、その解決策もアジア系米国人だけが関心を持ち、行動するだけでは不十分ではないかという話になる、と説明する。

この点について一部の活動家たちは、今、多くのアジア系米国人が感じている公共の安全に関する脅威は、失業、住居に関する不安、所得格差などの構造的問題が原因であるとし、この脅威に立ち向かうには、他の人種と連携しながら問題解決を図る必要があると主張する。

グエン氏も「一般的な人種差別や黒人差別の問題に取り組まず、アジア人差別の問題のみを解決しようという考えは間違っている」と付け加えた。

バルガス氏は、自身がこれまでに見てきた取り組みに勇気づけられているという。人種の垣根を超えた数百人のボランティアが、高齢のアジア系米国人に付き添って彼らの安全を守ったり、多くのコミュニティーが地方レベルで結集し、コミュニティー同士の結束を表明している。

バルガス氏は「必要なのは、インターセクショナリティー(交わり・共通性)を実行に移すことだ」と述べ、さらに次のように続けた。

「実際に互いに守り合うとはどういうことか。誰かの隣人になるとはどういうことか。これらは基本的な質問に思えるだろうが、米国を誰にとってもより安全な国にするために、われわれ全員がこれらの基本的な質問に答える必要がある」

バルガス氏は、アジア系米国人が長年直面してきた憎悪や暴力の歴史について議論する人が増えることを願っている。しかし、今後の動向が極めて重要であるとバルガス氏や他の支援者らは口をそろえる。なぜなら、現時点の各コミュニティーの対応の仕方次第で、アジア系米国人(やその他の人種)が今後も人種差別の問題に直面し続けるか否かが決まる可能性があるからだ。

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