総工費3兆円、ロンドン新高速鉄道「エリザベス線」の内部に迫る

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この建設プロジェクトは欧州でも最大級のものだ/Leon Neal/Getty Images

この建設プロジェクトは欧州でも最大級のものだ/Leon Neal/Getty Images

巨大な施設とトンネル

カナリーワーフ駅は、単なる鉄道駅を超えた存在として設計された、クロスレール新設10駅のうちのひとつだ。古い波止場跡に建てられた5階建ての建物には、店やレストラン、屋上庭園まである。

交通用ICカードの「オイスターカード」をタッチし、巨大なエスカレーターを降りると、地下約21メートルの場所に位置する洞窟のようなトンネルに到着する。ホームに着くと、ここが単なる地下鉄路線でないことがうかがえる。エリザベス線はこれまでにロンドンでは見たこともない規模と大きさを誇るのだ。

約182メートルのプラットホームは数百人の乗客を収容できるよう設計され、線路の端には転落防止用のガラススクリーンが設置された。

また、クロスレールの全駅は列車まで段差なく移動できるようになっている。車内は広く開放的で、従来のロンドンの地下鉄とは一線を画している。

地下に作られた駅

ロンドンの創造性の中心地であるショーディッチやホクストンに近いホワイトチャペル駅は、ロンドン北部、東部、南東部に向かう主要な公共交通機関の結節点である。既存の駅ですでに混雑していた地下にクロスレールを組み込むことは、このプロジェクトにおける最大の課題のひとつであった。

さらに西へ進むと、ロンドンの金融街シティの中心にあるリバプール・ストリート駅がある。ここでは着工にあたり考古学者が遺物を掘り起こす必要があった。悪名高い精神病院ベドラムの埋葬地から約4000体の遺骨が発見されたほか、ローマ時代の遺物も数千個見つかった。

次はファリンドン駅だ。ファリンドンには多くの大企業や法律事務所が本拠地を構えている。ファリンドン駅は、クロスレールの東西トンネルと、地下鉄のサークル線、メトロポリタン線、ハマースミス&シティ線、そして南北をつなぐテムズリンク線が交わる場所だ。

クロスレールが開通すれば、ファリンドン駅はロンドンで最も利用者の多い駅になるだろう。またテムズリンク線との相互乗り入れにより、英国で最も重要な交通拠点のひとつになる見通しだ。テムズリンク線は、ロンドン中心部とガトウィック空港、ルートン空港、ケンブリッジ、南岸のブライトンを結び、1時間に最大24本運行する。

次のトッテナム・コート・ロード駅では、既存の地下鉄駅のトンネルとエスカレーターの間に新路線が建設された。クロスレールとノーザン線のトンネルの間隔がわずか約61センチメートルの場所もある。

ショッピングとエンターテインメントの街にあるボンド・ストリート駅は、ソーホーの劇場やレコーディングスタジオの下に位置するため、列車通過時の衝撃を緩和するために特注の軌道スラブを開発する必要があった。

さらに西へ向かうと、主要駅のパディントン駅に到着する。約91メートルの高さにある天蓋(てんがい)から地下の空間に自然光が降り注ぐ。

地上に出る

そのまま西へ進むと列車は地上に出る。アクトン、イーリング・ブロードウェー、サウスオールなどの郊外を走行し、列車はヒースロー空港地下のトンネルに入る。

カナリーワーフを出発して13駅を通過。38分後にヒースロー空港第2、第3ターミナル駅に到着する。

だがクロスレールの拡張計画はまだ続く。西部ではスラウやレディングまで延伸し、東部では通勤客でにぎわうエセックス州やアビーウッドまで延伸する計画だ。

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