「ファンタスティック4」新作、初週の興収174億円で首位
(CNN) ディズニーの新作映画「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」が、北米市場の週末興行収入ランキングで「スーパーマン」を抑え、1億1800万ドル(約174億円)を記録して首位に立った。
今回のリブート作品はシリーズにとって大きな復活劇となった。アナリストの予測の範囲内に収まったものの、期待されていた1億3000万ドルには届かなかった。ただ、今年公開されたマーベル映画の中では最高の週末成績を記録し、2月公開の「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」(8850万ドル)や、5月公開の「サンダーボルツ」(7430万ドル)を上回った。
調査会社コムスコアの上級アナリスト、ポール・ダーガラベディアン氏は「マーベルの新たな段階は、ブランドにとって非常に重要だ」と語った。「サンダーボルツの成功を土台に、観客がスーパーヒーロー映画を映画館で観るのを好んでいることを示している」
チケット販売サイト「ファンダンゴ」の分析部門ディレクター、ショーン・ロビンズ氏は、「ファンタスティック4」について「予備知識ゼロで楽しめる作品」と評した。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のこれまでの複雑なストーリーから切り離された作品となっているからだという。
「それこそが、今マーベルのシリーズが目指すべき方向だ。熱心なファンをつなぎ留めると同時に、カジュアルな観客も呼び戻す必要がある」とロビンズ氏は述べた。
一部の専門家からは観客に「スーパーヒーロー疲れ」があるとの指摘も出るが、業界紙「ボックスオフィス・プロ」の編集ディレクター、ダニエル・ロリア氏は「マーベルは『フランチャイズ疲れ』に直面しているのかもしれない」と語る。マーベル・スタジオは2008年の「アイアンマン」以降、37本の映画を公開しており、うち「アベンジャーズ」シリーズの4作品(12~19年)は、インフレ調整後で約100億ドルを稼ぎ出した。
ダーガラベディアン氏によると、マーベル疲れを加速させた一因には、ディズニーがMCUのテレビシリーズを配信サービスで展開し、物語を複雑にしてしまったことがあるという。
新型コロナウイルス感染症の流行以降のマーベル映画は、封切り時に好スタートを切れない傾向が続いており、例外は24年の「デッドプール&ウルヴァリン」(2億1100万ドル)や、21年の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2億6000万ドル)など、ごくわずかだ。
ロリア氏は「多くの作品が家庭で簡単に視聴できる」とした上で、「ファンタスティック4はそうした流れとは異なる、新鮮な体験だ。観客がそれに反応している」と指摘した。
週末興行収入の2位には「スーパーマン」が入り、約2500万ドルを記録。11日の公開以降、累計の興収は2億8950万ドルに達している。ダーガラベディアン氏は、今月公開された2本のスーパーヒーロー映画の成功について、もしこのジャンルの映画が消滅したら映画業界にとって壊滅的な打撃となることを示していると指摘した。