サッカークラブW杯決勝、主役の座を奪ったトランプ米大統領 トロフィー掲げる選手の中心に
サッカークラブW杯決勝のトランプ氏、トロフィー掲揚時も壇上に
(CNN) 米ニュージャージー州で13日に開かれたサッカーのFIFAクラブワールドカップ(W杯)決勝。ピッチで注目の的はパリ・サンジェルマン(フランス)を破って優勝を決めたチェルシー(イングランド)だった。しかし主役の座を奪ったのは明らかに米国のドナルド・トランプ大統領だった。
トランプ大統領夫妻はニュージャージー州のメットライフスタジアムで決勝戦を観戦。チェルシーが3―0でパリ・サンジェルマンを下してクラブW杯を制する瞬間を見守った。
試合を前にメットライフスタジアムに到着した大統領夫妻は歓声で迎えられたものの、国歌斉唱の場面でビデオスクリーンにトランプ大統領が映し出されると会場からはブーイングが飛び交った。試合後、大統領がジャンニ・インファンティーノ会長と共にフィールドで選手たちにメダルを授与した際も、再びブーイングを浴びた。
試合のテレビ中継では、インファンティーノ会長の隣に座るトランプ大統領の姿が何度も映った。
この試合は、性的虐待などの罪に問われた故ジェフリー・エプスタイン元被告に関するメモの公開をめぐってプレッシャーが強まっているパム・ボンディ司法長官も観戦。代表取材のカメラは国土安全保障省のクリスティー・ノーム長官の姿をとらえていた。AP通信によれば、運輸省のショーン・ダフィー長官、米プロフットボールリーグ(NFL)のスター選手だったトム・ブレイディ氏、メディア王ルパート・マードック氏も大統領の一行に加わっていた。
インファンティーノ会長と共に優勝トロフィーをチェルシーの主将リース・ジェームズ選手に授与したトランプ大統領は、インファンティーノ会長が退場した後も壇上に残った。チェルシーの選手たちは、トロフィーの掲揚をトランプ大統領の退場を待ってから行うべきかどうか、戸惑った様子だった。
しかし少し間を置いてから、トランプ大統領の反対側にいたチェルシーのロバート・サンチェス選手がジェームズ選手に合図を送り、トランプ大統領がステージの中央に立った状態のままでトロフィーを掲げるよう促した。
これによって、優勝を祝うチェルシーの選手たちのど真ん中に米大統領が立つという異様な光景が出来上がった。
チェルシーの選手たちは壇上のトランプ大統領の存在について戸惑いを隠さなかった。サッカーでは普通、優勝した選手とスタッフのためにトロフィーが掲げられる。「大統領が来ることは知っていたけれど、自分たちがトロフィーを掲げる時まで壇上にいるとは思わなかったので、少し混乱した」。大会MVPに選ばれたコール・パーマー選手はそう振り返った。
ジェームズ選手は「事前の話では、大統領はトロフィーを授与したらステージを降りると聞いていた。彼はステージを降りると思ったのに、残りたがった」と付け加えている。
インファンティーノ会長がトランプ大統領にメダルを授与するような様子が映し出されると、SNSでも混乱が広がった。
AP通信によると、ワシントンに戻ったトランプ大統領は「今日はきっと番狂わせだった」と記者団に語り、「しかし素晴らしい試合だった」と振り返った。
米国、カナダ、メキシコで開かれる2026年サッカーW杯まであと1年足らず。次はもっと大がかりで、もっと異様な展開になる可能性もある。