トランプ氏の関税通知、ミャンマー軍政には朗報 軍政の「承認」として歓迎

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「国軍記念日」の式典に参加したミンアウンフライン最高司令官=3月/AFP/Getty Images

「国軍記念日」の式典に参加したミンアウンフライン最高司令官=3月/AFP/Getty Images

(CNN) 世界の首脳の多くにとって、米国のトランプ大統領から届く関税をめぐる書簡は頭痛の種だ。しかし、ミャンマー国軍のミンアウンフライン最高司令官は、孤立して国際社会から非難を浴びる軍政への「承認」として書簡を歓迎している。

2021年にクーデターで権力を掌握したミンアウンフライン氏は、7日に送られたトランプ氏からの新たな関税を通知する書簡を受け取る「栄誉」を得たと述べた。国営紙「グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」が11日に報じた。

トランプ氏からの書簡には、米国が8月1日からミャンマーの対米輸出に40%の関税率を課すと記されており、同紙によると「心からの感謝」をもって受け止められたという。

米国をはじめほとんどの西側諸国は、ミャンマーの軍政を正統な政府として承認していない。

軍の権力掌握は壊滅的な内戦を引き起こした。民主派勢力や少数民族の武装組織が各地で軍と交戦している。国連や人権団体は、軍が権力維持のために戦争犯罪を行っていると非難している。

米国や英国、欧州連合(EU)は軍に制裁を科し、国際舞台でその代表者との接触を制限してきた。米国などの主要な西側諸国は、ミャンマーに全権大使を常駐させておらず、こうした外交上の冷遇に軍政は長らく不満を募らせてきた。

しかし今回の書簡についてミンアウンフライン氏は、「米国の卓越した経済への参加を継続するよう促す励みとなる招待」だと強調し、必要であればできるだけ早く、高官級の交渉団を米国に派遣し、関係当局と協議する用意があると述べた。

CNNは、書簡がどのように届けられたのか、また米政権の軍政への姿勢に変化があるのかについて、在ミャンマーの米大使館にコメントを求めた。

ミンアウンフライン氏は、トランプ氏が「既存の紛争を時に悪化させてきた放送機関と資金を規制した」ことにも謝意を示した。これは米政権によるラジオ・フリー・アジアやボイス・オブ・アメリカなどへの支出削減を指しているとみられる。

ラジオ・フリー・アジアやボイス・オブ・アメリカは独立した報道によってミャンマー国内で長年にわたり支持を集めており、軍政によるメディア統制の強化後、情報源として一層重要性が高まっている。

ミンアウンフライン氏はまた、トランプ氏が根拠なく主張し続けてきた20年の米大統領選での大規模な不正という長年の不満にも呼応した。

ミンアウンフライン氏は、ミャンマーも大規模な選挙不正と重大な不備を経験したと述べたという。

ミンアウンフライン氏のいう選挙とは、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝し、軍の影響下にある政党が敗北した選挙だ。

当時の国際監視団は選挙がおおむね自由かつ公正だったと評価したが、軍はほどなくして大規模な不正があったと根拠なく主張し始めた。その後、軍はクーデターを敢行し、10年続いた民主化の試みを終わらせ、国を混乱に陥れた。

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