OPINION

米国の銃乱射事件に歯止めをかける方法

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21人が死亡する銃乱射事件の起きたテキサス州の小学校で、現場を警備する警察官ら/MARCO BELLO/REUTERS

21人が死亡する銃乱射事件の起きたテキサス州の小学校で、現場を警備する警察官ら/MARCO BELLO/REUTERS

(CNN) 米国の銃乱射事件は、とうの昔に国家安全保障上の問題として扱われるべきだった。実際それは我々米国人の国家としての安全保障に関わっている。

銃暴力に関するデータを収集する非営利団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ(GVA)」によると、米国では今年に入ってすでに213件の銃乱射事件が起きている。また学校での銃撃で死傷者が出た事件は27件と、教育関連メディアの「エデュケーション・ウィーク」は伝えている。

ピーター・バーゲン氏/CNN
ピーター・バーゲン氏/CNN

こんなことが、正常であるはずがない。

どの年をとっても、銃で武装した同胞の市民に殺害される米国人の数はテロリストに殺される数の何千倍にも上る。例えば米疾病対策センター(CDC)によると、2020年の米国での銃による殺人事件は1万9384件。一方、同年米国でテロリストに殺害されたのは4人だった。これは研究機関「ニュー・アメリカ」が調べた数字だ。

米国人は自分たちを特別な国の市民だと考えている。なるほど、米国は確かに特別な国だ。米国ほど大量の武器で武装している国はほかにない。最も近い水準にあるのは長期の内戦に苦しむイエメンだが、それでも人口に対する銃の所有率は米国の半分以下だ。

銃のロビー団体の主張とは裏腹に、こうした状況は米国人をより安全にはしていない。人口の規模で調整すると、米国では銃で襲われる可能性がイングランド及びウェールズよりもざっと90倍高まる。後者の人口は米国の5分の1で、国家統計局で手に入る直近のデータによれば銃による殺人事件の件数は20年3月までの1年間で30件だった。CDCのデータが示す同年の米国の銃による殺人事件は1万4800件を超えていた。

だから全米ライフル協会(NRA)の論点は無視しよう。今後うんざりするほど聞かされるに違いないが、彼らによれば重要なのは銃ではなく、それを撃つ人間の方だという話になる。

では米国人は英国人に比べ、本当にそこまで精神的に不安定なのだろうか? 当然ながらそんなことはない。問題は銃が簡単に手に入る環境にある。

ここで筆者が話しているのは、ルイジアナ州に住む親戚の誰もがシカ狩りに使うような銃ではない。彼らはアサルトライフルなど絶対に使わない。

アサルトライフルの目的は1つ。可能な限り多くの人間を効率的かつ迅速に傷つけ、殺すことだ。米国の路上には必要のない代物だ。

テキサス州の小学校を襲った容疑者は、AR15型ライフル銃2丁を犯行の数日前に購入していた。CNNがそう報じた。また同州公衆安全局のエリック・エストラダ巡査部長によれば、犯人は防弾チョッキも着用していた。なぜこんなことがまかり通るのか? なぜ米国の市民が簡単に防弾チョッキを購入できなくてはならないのか? 警備員など、仕事の上で文句なしに必要だというなら話は別だが。

いくつかの常識に基づく行動を取れば、米国における銃乱射事件の数は減らすことができる。警察官と教師は、「漏洩(ろうえい)」という問題をしっかりと理解しなくてはならない。それは20~30年前、学校での銃乱射事件の予兆になり得るものとみなされた。1人の生徒が何か暴力的なことを計画すると、たいていは意識的であれ無意識であれ友人や家族に漏らすものだ。

テキサス州の容疑者は、自らの半自動火器と弾薬の入ったバッグの画像をテキストメッセージでクラスメートに送信していた。事件の数日前のことだ。CNNが報じた。容疑者はまた、それらの銃器の画像をソーシャルメディアにも投稿していた。

「漏洩」は、国内のテロ行為でも見られる。ニューヨーク州バファローのスーパーマーケットで銃を乱射した容疑者は、このケースに当てはまる。黒人が多く住む地域にあったスーパーで今月起きたこの事件では10人が殺害された。犯人はアサルトライフルを使った襲撃を実行する1年前、「対象の不明確な脅迫」を行い、警察の取り調べを受けた。この時の脅迫行為にもかかわらず、犯人はなおも合法的に半自動式のライフルを購入することができていた。

保守派の書き手であるデービッド・フレンチ氏が指摘したように、もっと多くの州が「レッドフラッグ(危険信号)法(訳注:危険と判断した人から銃器を取り上げることを当局に認める法律)」を可決し、より適切に執行するべきだ。このような法律があれば、バファローのテロリストのように脅迫行為を働いて警察に目をつけられるような人物が銃を購入するのを阻止できるだろう。

テキサス州の悲劇を受けて何かしら意義のある結果がもたらされ、米国での銃暴力の犠牲者が減少するのかどうかはまだ分からない。我々は皆、これまであまりに多くの無残な悲劇を目にしてきたが、その後はほとんど何の変化も見られはしなかった。

今回はそうならないことを期待しよう。米国の銃乱射事件は国民的な恥辱であり悲劇だ。世界から見れば異常な現象に他ならない。米国人がこのまま普段の調子に戻ってしまうのなら、そうした事件は今後も間違いなく起き続けるだろう。悲惨なことに、それが当たり前となってからもう数十年が経過している。

ピーター・バーゲン氏はCNNの国家安全保障担当アナリスト。米シンクタンク「ニューアメリカ」の幹部で、アリゾナ州立大学の実務教授も務める。近くトランプ政権に関する書籍のペーパーバック版が出版される。記事の内容は同氏個人の見解です。

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